1.プロローグ
僕は、アメリカで暮らしていた時は、全くコーヒーというものは、飲みませんでした。(その代わりではないですが、日本人が大嫌いな“ルートビア"は、よく飲んでいました。)というのは、アメリカのコーヒーは“泥水"のような匂いも味もしたからです。(日本人によると“ルートビア"の方がよっぽど泥水みたいだと言われますが。)
なので東京で生活をし始めても、コーヒーというものを飲みませんでした。しかし、初めてBigBrotherに会った時にコーヒーを出されてしまいました。(日本人は、相手が全員コーヒーが好きだと決めているようで、黙ってコーヒーを出されることがよくあります。)
その時は、“僕はコーヒーが飲めないです"と言えず、仕方なく一口だけ飲むふりをしました。
すると、どうでしょう。素晴らしい香りがした後、絶妙なニガミと微かな甘みが感じられるじゃないですか。
あのアメリカの“泥水"とは、全くの別物でした。この素晴らしいコーヒーは、どういう魔法を使って淹れたのですかと僕は尋ねました。
事務所の近くにある、「やなか珈琲店」でその当日、フレンチ・ローストに焙煎し、グラインドしたものをペーパードリップで淹れたということでした。
それ以来、僕はコーヒーが大好きになり、毎日2~3杯、BigBrotherの淹れたコーヒーを飲んでいます。
今でも僕が2杯目のコーヒーをお代わりしていると、“カズーは、昔は子供だったから、コーヒーが飲めなかったんだよね"とからかわれます。
今回は、僕が打ち合わせや気分転換のために利用するカフェを紹介します。
2.やなか珈琲店
名前から予想できるように、東京・谷中のよみせ通りに1号店があり、東京都を中心にお店を構えるコーヒー豆専門店です。
ロースターとして有名なのですが、代々木八幡にある事務所近くにもお店があり、昼下がりに焙煎された豆の香りが漂ってくる瞬間は至福のひと時です。豆のブレンドは浅煎りから深煎りまで約30種類の豆が用意されていて、注文を受けてから焙煎してくれるので(100 gから注文ができます)、買い物の合間に立ち寄ったり、事前に電話にて注文することをおすすめします。
店内にもコーヒーをいただけるスペースもあり、待ち合わせまで一息つきたい時や、仕事の合間に一服したい時に便利です(ちなみに店内は禁煙です)。『やなかオリジナル・ブレンド』コーヒー1杯240円、『本日のブレンド」コーヒー1杯290円カフェオレ290円という嬉しい価格設定なので(金額は全てSサイズです)、気軽に立ち寄れます。
<CAFE INFO>
3.カフェ ロストロ
代々木八幡駅から歩いてすぐある通称“奥渋"の宇田川の遊歩道沿いにある、今時のカフェと古き良き喫茶店の両方の要素を併せ持った、コーヒー豆店&カフェです。
基本メニューはなく、親切なスタッフがお好みを伺った上で豆をブレンドし、抽出方法を選び、あなただけのオリジナル・コーヒーを淹れてくれます。訪れる度に特別な出会いが待っているので、季節やその日の気分を、コーヒーを通して嗜むことができます。
仕事帰りや休憩中の方には、コーヒーやカフェオレ、エスプレッソなど、テイクアウト専門のメニューの用意もあります。
お店が使用している豆は全て「スペシャルティ・コーヒー」と呼ばれる、最高指標をクリアしたものです。
また、紅茶にもかなり気合いを入れていて、食事やスイーツとの「マリアージュ」をテーマにダージリンやアッサムのほか、様々なブレンドが用意されています。僕も今度試してみたいと思っています。
店内はコーヒーとの出会いを楽しむ場所であり、パソコンの利用を控えましょう。テラス席はパソコン利用可能です。
<CAFE INFO>
4.フグレン・トウキョウ
ノルウェーの首都であるオスロからやってきた、北欧スタイルのライト・ロースト(浅煎り)コーヒーを楽しめる“奥渋"のカフェです。店内にはミッドセンチュリーの北欧デザインの家具や小物が置かれ、客席も含め、購入可能となっているようです。
ライト・ローストは酸味が強く苦味が少ないため、初めての方は少しびっくりするかもしれませんが、様々な形で楽しめるので自分にあった飲み方を見つけることをおすすめします。個人的には「エアロプレス」と呼ばれる器具を使って空気圧を用いて抽出される濃い目のコーヒーがお気に入りです。
夜19:00になると本格カクテルが楽しめるバーになり、0:00過ぎまで近所の住民、クリエイティヴ業界ではたらく方々や外国人で賑わっています。月に2~3回、ある特定のテーマでイベントも開催されています。
2014年にお店付近にロースターが設立されて以降、それまでに増してコーヒーが美味しくなりました。
ちなみにフグレンでは、僕の父親の出身地であるエル・サルバドルの豆のコーヒーを楽しむこともできます。僕自身エル・サルバドルを訪れたことはないのですが、そのコーヒーをいただくと、子供の頃父親が語ってくれた母国の風景が目の前に浮かびます。
2018年9月21日には、浅草にFUGLENが新しくオープンしました。
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5.キャメルバック・サンドウィッチ&エスプレッソ
アメリカ人である僕にとって、東京にはサンドウィッチ専門店が少ないことが長年の悩みでした(日本スタイルのタマゴサンドは格別ですが)。2014年に“奥渋"にできたこのお店は、海外から訪れる旅行者も訪れたいと思うくらい人気です。
オーナーの一人がもともと寿司職人として働いていたこともあり、サンドウィッチに使われる食材は季節や入手できるものによって変わり、盛り付ける姿もどこかその面影を感じさせます。
サンドウィッチは普通サイズとハーフサイズがあります。初めての方は、お好みのサンドの普通サイズ1つと、看板メニューである『たまごサンド』(ハーフサイズのみ)を注文してみてください。
バリスタであるもう一人のオーナーが入れるコーヒーはサンドウィッチとの相性が抜群で、濃いめのカフェラテかバニララテが特におすすめです。
最近代々木八幡駅寄りに「CAMELBACK RICH VALLEY」もオープンしました。
ちなみにCAMELBACKという名前はアメリカのアリゾナ州・フェニックスのキャメルバック・マウンテンから由来しているそうです。そしてちなみに僕は、水曜日当たり(一週間の真ん中であることから、英語では通称「ハンプ・デイ」(ハンプ=ラクダのこぶ)と言われます)になると、ここのサンドウィッチが無性に食べたくなります。
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キャメルバック・サンドウィッチ&エスプレッソ
6.ザ・コーヒーショップ・ロースト・ワークス
東大駒場キャンパスの裏側にあるこちらのカフェは、代官山にある「THE COFFEESHOP」の姉妹店です。様々なコーヒー用具とモダンなインテリアが合わさってどこかスチームパンク的(メカニカルで無機質)な雰囲気が漂う印象的な店内です。(店内には「スチームパンク」と呼ばれるサイフォン式のコーヒー・マシンがあり、見るだけで楽しい気分になります。)
近年ライト・ローストを中心に提供するいわゆる「サード・ウェーブ」のコーヒー・ショップが多い気がしますが、こちらのお店はダーク・ロースト(深煎り)のものが個人的にはおすすめです。豆は全てシングル・オリジンで仕入れており、ドリップだけでなく、フレンチプレス、エアロプレスなど様々な淹れ方を楽しめます。
フレンチプレスで抽出したスペシャルティ・コーヒー2種類を使用して作った『Cafepresso Jelly』(特製ソース付き)もなかなか美味しいです。(夏季限定)
頻繁に更新されるウェブ・マガジンには、季節ごとの限定ブレンドの情報の他、コーヒーの淹れ方のコツやコーヒーにまつわる疑問について記事を公開していますので、興味がある方はチェックしてみてください(日本語のみです)。自分の好みにあったコーヒーをおすすめしてくれる「BEANS NAVI」も参考にしてみてください。
<CAFE INFO>
ザ・コーヒーショップ・ロースト・ワークス
7.カカオストア
代々木八幡駅/代々木公園駅から歩いてすぐの「ビーン・トゥ・バー」をコンセプトとしたチョコレート専門店です。(ビーン・トゥ・バーとは、カカオ豆から板状のチョコレートまでの全工程をひとつの工房内で行うことを意味します。)
チョコレート・バー(タブレット)やチョコレート・ケーキなどカカオ系の食品はもちろんのこと(ちなみにこのお店のオーナーはチョコレート専門店「テオブロマ」のオーナーでもあり、「テオブロマ」の焼き菓子も用意されています)、チョコレートを使ったカレーや、カカオを使ったシャンプーやトリートメントまで、チョコレート好きにはたまらないワンダーランドです。商品のパッケージも独特なので、お土産にも最適です。
イートイン・スペースもあり、週末の夜は21:00まで営業しているので、疲れた仕事帰りに立ち寄ると元気が出ます。僕はカリッと焼き上げられたパンの上にチョコレート・バーが乗った『トースト・ショコラ』が好きです。パンの熱が伝わったダーク・チョコの口どけ具合はたまりません。
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8.カフェ アンソロジア
代々木公園交番前の交差点の近くにある、こじんまりした穴場カフェです。木の扉と、どこかイタリアン・バルのような佇まいが目印です。
こちらのカフェには日替わりランチやカレーがありますが、僕はかりっとしながらモチっとした生地のパニーニを注文します。(ピザとサンドウィッチが好きなアメリカ人にとって、パニーニは夢のような食べ物です。)
井の頭通り沿いでありながらとても落ち着いた店内で、全面喫煙可ですが、一人でゆっくりしたい時におすすめのカフェです。また、僕自身はタバコをすいませんが、そんな店内はリッチなコーヒーはやはりどこか相性が良いです。
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カフェ・アントロジア
9.ラテ・トウキョウ
“奥渋"の裏道にあるこちらのカフェは、NHK放送センターに近いので、ランチや午後に立ち寄り、テイクアウトするのがおすすめです。「INN」(宿)と書かれた看板が目印です。
店名に「LATTE」という言葉があるだけに、カフェラテやバニララテ以外にも、バナナラテ、いちごラテ、ココナッツラテなど、エスプレッソ系のドリンクを売りにしています(季節限定ものもあり)。
僕は子供の頃、日本に遊びに来るたびに、毎日のように牛乳ばかり飲んでいました。(アメリカで普段から飲んでいた牛乳とは、まったく別の飲み物です。)このお店はこだわりの東京の牛乳を使っているそうで、その濃厚な味をいただくと、そもそも自分が日本に来た理由を思い出します。
<CAFE INFO>
ラテ・トウキョウ
10.エピローグ
BigBrotherは、季節、天候、その時の気分によって使用するコーヒー豆をとてもよく変えます。
コーヒー豆の生産地や収穫とか、焙煎の深さ、グラインドの細かさ、お湯の温度や量など、様々なヴァリエーションを工夫しています。
そのデーターをまるで、科学者のようにメモに書いています。そのメモは、決して誰にも見せないように鍵のかかった机の中に入れています。
僕は、フレンチ・ローストの粗めの粉とイタリアン・ローストの細かい粉をブレンドして、淹れてくれたコーヒーにハイファットな牛乳とハイファットなクリームにブラウンシュガーを多めに入れた“KAZOOスペシャル"がお気に入りです。
因みにBigBrotherは、最近沸騰したお湯ではなく少し低めの温度で入れることを研究中だそうです。92℃がいいのか93℃がいいのか悩んでいるそうです。