1.プロローグ
DTMのためのオーディオ(つまりスタジオ用のための)というのは、一言で言えば、“硬い音"になるようにセッティングをしています。
販売するための音楽というものは、色々な環境やシステムで聴かれることが前提なので、できるだけクセのない音、色の付いていない音、つまり硬い音のサウンド・システムで制作しないといけないのです。
音量だけでなく、音の像とか、音の分離、音の奥行きといったような、専門的なことを聴き分けられるような装置を使うのです。
一方、自宅でリラックスして音だけではなく、音楽を楽しむためには、あえて、“柔らかい音"になるようなサウンド・システムを組んでいます。
僕がDTMで作るのは、ほとんどが四つ打ち系の音楽なのですが、自宅では、ジャズのレコードを聴くことが多くなってきました。
自宅用とはいえ、音質の調整をしたいので、プロ用(業務用)機材とピュア・オーディオ(コンシューマ用)の機材が混在しています。
2.CD プレイヤーとターンテーブル
CDプレイヤーは、「ヤマハ」の業務用の『CD-S 300RK』を使用しています。このCDプレイヤーは、USBを使ってハイレゾ音源にも対応しているので、とても便利な機材です。
音質は、この価格においても“ヤマハ・ビューティ"と呼ばれるクリアーなサウンドです。
ターンテーブル(レコード・プレイヤー)は、DJの時は当然、ピッチ(BPM)が調整できるテクニクス(昔のモデル)のものを使用しています。一方、自宅では、「デノン」の『DP-500M』を使用しています。上位機種の『DP-1300MKⅡ』もとてもいい音なのですが、防音、反響防止をしていない自宅では、DP-500Mで充分です。
このターンテーブルからは、「オーディオ・テクニカ」の『AT-PEQ3』と言うフォノイコライザーを中継して、ヤマハのミキサー『MG12XU』に繋いでいます。
3.ミキサー
「ヤマハ」というメーカーは、上位機種はもちろん、エントリーレベルの機材も丁寧に作っていると思うので、このミキサーもとてもコストパフォーマンスの高い商品だと思います。
この価格帯のミキサーは、通常は、フェーダーではなくノブの場合が多く、出力もXLRでなく、フォンの場合が多いのですが、このMG12XU.は、フェーダー+XLR出力の仕様になっているところが二重丸です。
ヤマハのミキサーのもう1つ良いところは、1つのノブだけで、簡単にコンプレッサーがかけられることです。
ゲインを少し上げて、コンプレッサーをかけるとロックや四つ打ち系の音は、力強くなります。
また、3バンドのパラメトリックEQが付いているので、ジャズ・ヴォーカルやR&Bなどを聴く時は、少しMIDをあげるとヴォーカルが前に出てきます。
HIP HOPなどキックが強い音楽は、さらにEQでLOWを上げることで、よりリアルな音になります。
4.スピーカー
ミキサーから「JBL」のパワード・スピーカー『305P MKII』に接続するために「ノイトリック」のキャノン(XLR)のプラグをつけた「ベルデン」のケーブルを使用しています。
JBLのパワード・スピーカーは、スタジオ・モニターとしては、後発の部類に入りますが、完成度は、さすがJBLという感じです。
スタジオ・モニターとしての定位や解像度を持ちながら、JBLらしさも十分に感じられます。JBLらしさとは、ジャズをジャズらしく聴かせてくれる表現力のことです。
5.ケーブル
CDは、残念ながらXLRの出力がなく、RCA(ピン)だけなので、RCA(ピン)+XLR(キャノン)(オーダー品)の「ベルデン」のケーブルでミキサーに接続しています。
ターンテーブルとフォノエコライザーは、RCA(ピン)+RCA(ピン)のベルデンのケーブル(オーダー品)で、フォノイコライザーとミキサーはRCA(ピン)+フォンのベルデンのケーブル(オーダー品)で接続しています。
このシステムで、ベルデンのケーブルをオーダーしてまでもこだわる理由は、ベルデンの全く“色がつかない性質"が欲しかったからです。
「ヤマハ」や「デノン」という日本のメーカーを音の入り口として、「JBL」というアメリカのメーカーを音の出口としてバランスよく融合させるには、アメリカのベルデンのケーブルが必要だと思ったからです。
ケーブルをオーダーしない場合は、様々なプラグの種類があるので、「カナレ」の製品がオススメです。(メーカーごとのケーブルの特性の違いについては後日、詳しく書きます。)
6.レコード針とヘッドフォン
レコード針についても、インストゥルメンタルのジャズを聴くときは、日本製の「オーディオ・テクニカ」の『AT33EV』を使い、R&Bやジャズ・ヴォーカルを聴くときは、アメリカ製の「シュア」の『M44G』を使っています。
夜間は、「AKG」の『K271MKⅡ』という、フラットな音の出るヘッドフォンを使用しています。ヘッドフォンのケーブルは、やはり「ベルデン」(オーダー品)のものと交換しています。
ミキサーを経由することで、CDとレコードの微妙な音の違いをEQ(高音とか低音を調整する)をいじることで、スピーカーに送られる音のバランスをとることができるメリットもあります。
7.エピローグ
今日、ご紹介したシステムを入手するためには、家電販売店とプロ用機材販売店の両方から購入しなくてはならず、また、機材をつなぐケーブルのプラグについても細心の注意が必要となります。
それでも頑張って、システムを構築してくだされば、かなりのクオリティのサウンドをそれなりの支出で楽しむことができるようになります。
ミキサーのEQなども工夫すれば、より好みのサウンドも見つけることができるでしょう。
BigBrotherは、街やTVのBGMでジャズが流れてくると、すぐにベースは、誰で、ドラムスは、誰だとかを言い当てる特技を持っています。
かつて、ジャズが大人気であった70~80年代の「ジャズ喫茶」や「大学のジャズ研究会」では、こうしたプレイヤー当てゲームが常時行われていたそうです。
僕は、ジャズ・ベースに興味があるので、ジャズ・ベーシストのリーダーアルバムをよく聴くようにしているうちに、ロン・カーター、ジャコ・パストリアスそれに、マーカス・ミラーの違いだけは、わかるようになってきました。ジャズに詳しい人からすると大したことではないので、まだまだです。