1.プロローグ
音楽を聴くということには、大きく分けて、2つの要素があると思います。1つ目は、当然楽曲のメロディーやアンサンブルを聴くということです。それに加えて、いい音質のサウンドを感じるという側面があります。
どんなにいい楽曲であっても、レコーディング状況や再生環境が悪ければ、せっかくの名曲も台無しになってしまいます。
世界で最も権威のある音楽賞であるグラミー賞においても、楽曲やアルバムに関する部門とは別に、優秀な録音に対しても賞を与えています。
いい音楽をいい音質で聴くということは、人生の楽しみの一つと言っても過言ではないと思うのです。
今回は、GEAR & BUSINESS #004でご紹介した機材で是非聴いてもらいたい、録音が優秀な歴史的名盤の数々を紹介します。
一般には、20世紀に録音された音源は、CDよりレコードの方が良いとされてきました。しかし、近年のデジタル技術の向上によって、この定説も覆されてきたように思われます。
1つは、デジタル・リマスタリングの技術とセンスが向上したことで、いわゆる“デジタル臭い”サウンドだけではなく、レコードのような“生々しい”サウンドが蘇るようになってきました。
CDの音質の向上のもう1つの原因としては、高音質盤と呼ばれる技術の進歩があります。
これまでもCDと同じ形状・大きさの盤面のSACD、Blu-ray Audio、DVD-Audioといった通常のCDプレイヤーでは再生できず、専門のプレイヤーが必要なフォーマットのものもあります。しかしこれらは、なかなか一般的にはなりませんでした。
こうした、フォーマットとは別に、通常のCDプレイヤーでも高音質なサウンドを楽しめるフォーマットが数々と開発されています。
SHM-CD、Blu-spec CD、HQCD、MQA CDなどと呼ばれているもので、主に盤面の素材の質を高めることでハイクオリティなサウンドを提供するものです。
今回は、レコーディング部門のグラミー賞を受賞した作品やオーディオファンの中で、録音が優秀とされている歴史的名盤をご紹介します。
基本的には、SHM-CD / Blu-spec CD / HQCD / MQA CD盤を選んでいますが、こうした高音質盤がリリースされていないタイトルについても優秀な録音とされる作品については、通常のCDで紹介しています。
2.まずはコンピレイション盤を入手してみよう
いい音楽、いい音質とは何かを知るためには、様々なジャンルの音を聞くことをオススメします。
様々なジャンルの様々なミュージシャンの音楽を聴くことは、人生をとても豊かにするものです。
今までに聴いたことのない素晴らしいミュージシャンの演奏に触れるということは、とても感動的なことですらあります。
どうして、こんな素晴らしい音楽を今まで聴かなかったのだろうか、世の中には、もっともっと素晴らしい音楽があるのではないか、と考えさせられもします。
レコード各社は、新しい高音質のCDを普及させるために、とても安いプライスで、様々なジャンルの様々なミュージシャンによるコンピレーション盤を発売しています。
まずは、こうした高音質CDを入手してみてはいかがでしょうか。
3.CLASSICALの高音質のコンピレイションアルバム
クラシックの名曲・名演をSHM-CDと通常のCDで聞き比べることのできる、お手頃な価格のサンプラーです。
こちらもクラシックの名曲・名演を7曲収録したコンピレイションです。ハイレゾCDも全てのCDプレイヤーで再生可能ですが、音質は通常のCD(16 bit / 44.1 kHz)のままとなりますので、ご注意ください。ハイレゾ音源(24 bit / 352.8 kHz)を再生するためには、MQA対応CDプレイヤー、もしくはMQA対応DAC(アナログ信号をデジタル信号に変換するコンポーネント)が必要です。
同じマスター音源から製造したBlu-Spec CD2と通常CDを比較試聴できる、クラシックの名曲のコンピレイション・シリーズです。Blu-Spec CDも規格的には従来の音楽CDと変わらないため、普通のCDプレイヤーで再生することができます。
2000年から続いている癒し系ミュージックのコンピレイション・シリーズの15作目です。NHKのテレヴィのテーマ曲やCM楽曲、映画のサントラから18曲収録されたBlu-Spec CD2という通常のCDプレイヤーで再生できるフォーマットです。
4.JAZZの高音質コンピレイションアルバム
ジャズの名曲をSHM-CDと通常のCDで聞き比べることのできる2枚組のコンピレイション・シリーズです。選曲もバランスが良いので、ジャズ初心者にもオススメです。
ジャズの名曲をハイレゾCDと通常のCDで聞き比べることのできる2枚組です。こちらも、ジャズ名演が多数収録されています。
ソニー・ミュージックエンタテインメントのレガシー・レコーディングスによる、ジャズの名曲14曲を収録したBlu-Spec CD2と通常CDの2枚組です。
ユニバーサル傘下のレーベルから集めたジャズ・スタンダーズ100曲を6枚のHQCD(高音質CD)に収録したコンピレイションです。「グレイト・スタンダーズ」「シネマ」「ビューティフル」「モダン」「ポップス」「クラシカル」とそれぞれのCDにテーマがついています。
ピアノ・ジャズのスタンダーズ100曲を6枚組のHQCD(高音質CD)に収録したコンピレイションです。こちらも「グレイト・スタンダーズ」「リラックス」「シネマ」「ロマンティック」「ミッドナイト」「モダン・ジャズ」と、ぞれぞれのCDにテーマがついています。
5.ROCKの高音質コンピレイションアルバム
ロックの名曲をSHM-CDと通常のCDで聞き比べることのできる、お手頃な価格のサンプラーです。『1』は60~70年代の曲、『2』はソウルやブルースの曲
『3』は80年代の曲が中心となっています。いい音質で懐かしのロックの名曲を楽しむことができます。
Blu-Spec CD2と通常のCDでロックの名曲を聞き比べることのできる2枚組です。60年代のフォーク・ロックから70年代のグラム・ロック、80年代のポップ・ロックなど17曲が収録されています。
ロック&ポップスの名曲をハイレゾCDと通常のCDで聞き比べることのできる2枚組です。カリフォルニア・ポップからソウル、そしてニュー・ウェーヴまで幅広い年代から集めた10曲が収録されています。
夏のドライヴに最高に合う、サーファー・ブームの記憶が蘇る AOR38曲を2枚に渡って収録したコンピレイション・アルバムです。それぞれのCDには“OFF SHORE"(沖合にて)と“ON SHORE"(海岸にて)とテーマがついています。
湘南をテーマに選ばれた70~80年代を代表するAORの名曲20曲を収録したコンピレイション・アルバムです。海辺のドライヴにも最高の1枚です。
6.エピローグ
今回は録音が優秀な名曲を知るためのCDコンピレイションを紹介しました。次回は、コラムニストのOCEANがオススメのクラシックとジャズのCDコンピレイションを紹介します。お楽しみに!
