メイン・コンテンツ
検索フォーム
世界標準のビジネス・スキルを身につけるためのヒントを与えてくれる16冊
  - 一流のビジネスパーソンになるための書籍 (2)
  - ピーター・ドラッカー/大前研一/楠木建/ダニエル・ピンク/外山滋比古/本田直之 | GEAR & BUSINESS #013
2023/07/31 #013

世界標準のビジネス・スキルを身につけるためのヒントを与えてくれる16冊
- 一流のビジネスパーソンになるための書籍 (2)
- ピーター・ドラッカー/大前研一/楠木建/ダニエル・ピンク/外山滋比古/本田直之

columnist image
OCEAN
経営コンサルティング / エンジェル投資家

目次


1.プロローグ

“ビジネスに関する書籍"シリーズのこの第2弾から、このコーナーを担当することになったOCEANと申します。このシリーズの第1回『全ての人に読んでもらいたいビジネス書の名作16選』の執筆者BigBrotherからのリクエストを受け、このシリーズを担当することになりました。今後ともよろしくお願いいたします。

僕は、日本人の母親、アメリカ人の父親をもつ、いわゆる“ハーフ(ダブル)"です。これまでの人生も東京とNYCを半々ぐらいで過ごしてきました。

現在は、NYCを拠点にしていますが、年間の4分の1位は、東京でも生活しています。

僕が得意としているコンサルティングは、日米のビジネス・スタイルの違いを利用した分野です。アメリカに進出しようとする日本企業や日本に進出しようとする米国企業のサポートを行っています。

このシリーズでも、そうしたアメリカのビジネス・スタイルと日本のビジネス・スタイルの違いを比較しながら、執筆していきます。


2.世界をリードするコンサルティング・ファーム

かつて最も優秀な人物は、日本においては、官僚や銀行へ、米国においては、政治家や投資会社へ就職したものです。

しかし、日本では官僚の不祥事が続き、銀行も経営状態が悪くなり、米国でも疑問符のつく大統領が選ばれたり、リーマンショックを引き起こしたりしています。

現在、日本においても米国においても最も“力"のある人々は、コンサルティング・ファームに所属しています。

一般には、名前は知られていませんが、とても優秀な人財が集まっています。日本にもオフィスのあるコンサルティング・ファームといえば、
マッキンゼー・アンド・カンパニー
ボストン・コンサルティング・グループ
ベイン・アンド・カンパニー
A.T.カーニ
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社
アクセンチュア
などがあります。

これ以外にも、M&AやICTに強い専門的なコンサルティング・ファームも存在しています。

こうしたコンサルティング・ファームで“修行"をした人々が、独立起業することが、日本でも米国でもエリート層の憧れとなっています。


3.著名な日本人コンサルタント

マッキンゼー・アンド・カンパニー出身の主な有名人

大前研一

経営コンサルタント。1972年にマッキンゼーに入社し、後に日本支社長、アジア太平洋地区会長まで務めました。現在自身が立ち上げた株式会社運営による大学院大学「ビジネス・ブレークスルー大学院大学」の学長を務め、起業を目指す学生を指導しています。『企業参謀』『考える技術』『ザ・プロフェッショナル』など、著者が多数あります。経営戦略を立てるに当たって、自社(company)・顧客(customer)・競合相手(competitor)の視点から分析を行う“3Cモデル”を考案したことでも知られています。

勝間和代

経済評論家。慶應義塾大学商業学部在学中から大手会計事務所「アーサー・アンダーセン」で会計士補を務め、その後JPモルガン・チェース(当時はケミカル銀行)を経て、マッキンゼーで経営コンサルタントを務めました。ワーキングマザー向けのソーシャル・ネットワーキング・サービスの「ムギ畑」を創設したことが評価され、2005年には『ウォール・ストリート・ジャーナル』の『世界の最も注目すべき女性50人』に選ばれました。ビジネス・スキル、ワークライフ・バランス、女性が活躍する社会のあり方などについて多く著書を発表し、累計発行部数500万部以上を記録しています。

滝本哲史氏

経営コンサルタント、投資家。現在は京都大学で教鞭をとっています。『僕は君たちに武器を配りたい』『武器としての決断思考』『武器としての交渉思考』など、新しい経済時代を生き抜くために若者が必要とする“武器”を紹介した著書がベストセラーとなりました。

南場智子

実業家。マッキンゼーに数年務めた後、ハーバード・ビジネス・スクールに入学し、その後卒業をしてマッキンゼー日本支社に戻り、日本人女性として歴代3人目のパートナー(役員)に就任しました。その数年後にモバイル・ゲームの開発と配信を行う「株式会社ディー・エヌ・エー」を創業し、現在も代表取締役を務めています。

ボストン・コンサルティング・グループ出身の主な有名人

堀紘一

経営コンサルタント。三菱商事、ハーバード・ビジネス・スクールを経てボストン・コンサルティング・グループに勤務し、2000年にはコンサルタント事業と投資事業を行う「株式会社ドリームインキュベータ」を立ち上げ、現在も代表取締役会長を務めています。

岩瀬大輔
ライフネット生命保険株式会社の取締役会長。大学卒業後にボストン・コンサルティング・グループに入社し、その後ハーバード・ビジネス・スクールに留学し、帰国後にライフネットを立ち上げました。『入社1年目の教科書』『132億円集めたビジネスプラン』など著書が多数あります。


4.自己啓発/ビジネススキルに関する有名な書籍

こうしたコンサルティング・ファームで働く人たちが大学・大学院(MBA)時代に必ずといっていいほど読んでいる、有名な書籍を紹介します。

1)『ドラッカー名著集1 経営者の条件』ピーター・F. ドラッカー(著)

20世紀を代表する経営思想家のピーター・F・ドラッカーは、経営者として結果を出すための必須条件は、「正しいことを行う」ことだと言います。そのためにはどうすればいいか、時間管理、組織にどうやって貢献するか、成果のあげるためにはどうすればいいか、優先順位のつけ方、結果を出すための判断能力などの具体的な習慣を紹介しています。ドラッカーは著書を多数残していますが、こちらが入門書として最適でしょう。

2) 『ネクスト・ソサエティ ― 歴史が見たことのない未来がはじまる』ピーター・F. ドラッカー(著)

情報化社会の下で日々一刻変わり続けるビジネスの環境、そして進化し続ける経営者のあり方について解説しています。これからの社会を予測し、少子高齢化によって引き起こされる雇用問題とどう向き合うのか、起業家が求められる時代においてビジネス・スクールはどう変わらなくてはいけないのか、個人のキャリアをどう考えるべきかなど、経営者のみならず現代を生きる全ての人にとって生きていくヒントを与えてくれる良書です。

3)『フロー体験 喜びの現象学』M. チクセントミハイ(著)

ハンガリー出身のアメリカの心理学者であるチクセントミハイによると、「人々はある状況や事柄に没頭し、完全に集中して、周りが見えなくなる時こそが幸せである」と説きます。その精神状態のことを彼は「フロー」と呼びました。いわゆる“ゾーンに入る"ことです。フロー体験をするためには、そのタスクの「チャレンジ・レベル」(難しさ)と自らの「スキル・レベル」のバランスがキーとなると訴えています。自らを“やる気にさせる"ためのヒントが得られるでしょう。

4)『ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件』楠木建 (著)

企業の競争戦略を専門に研究を続けている経営学者の楠木建は、経営戦略にはストーリーが必要だと訴えます。新規事業を立ち上げるに当たって、経営戦略が論理的であることは大前提ではあります。だが「モノ」や「サービス」が溢れている現代だからこそ、それ以上に大事なのは他とは違う切り口で独自の“物語性"があるのか、人を感動させられる“物語"がそこにあるのか、が大切なのではないでしょうか。

5) 『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 新版 ストレングス・ファインダー2.0』 トム・ラス(著)

自分の強みを正しく把握し、それをいかに長い目で見て、開花させるかをテーマとした、“自分"の可能性を最大限化させるための教科書です。そのために、強みを“見える化"するための具体的な手法、その強みをどうやって自分の武器にしていくかという、具体的な行動のアイディアまでが解説されています。仕事でうまく結果が出せなかったりした時などに、読み返したくなります。

6)『動機づける力―モチベーションの理論と実践』DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー編集部 (編訳)

モチベーションをいかにあげるかは組織を運営する上、仕事をする上での、最大の課題と言っていいのではないでしょうか。同じスキルを持った人財であっても、その人のモチベーションで仕事量や成果に何倍もの差が生まれしまいます。本書は『ハーバード・ビジネス・レビュー』で今まで発表された、“人をどう動機づけるか"をテーマにした名著論文集です。

7)『マッキンゼー式 世界最強の仕事術』イーサン・M. ラジエル(著)

マッキンゼーがなぜ世界一でありつづけるのか、この本を読むとその理由が分かります。マッキンゼー流の問題解決方法、ブレインストーミングの方法、プレゼンテイション術、提案の仕方、チームの作り方など、超一流のビジネス・スキルを身につける具体的なトレイニングの方法までが紹介されています。コンサルティングに携わらないビジネスパーソンにとってもとてもためになる内容です。

8) 『プロフェッショナルマネジャー』ハロルド・ジェニーン、アルヴィン・モスコー(著)

アメリカの実業家であったハロルド・ジェニーンは、経営は読書とは違って結末に向けて読み進めるのではなく、結論ありきであることを主張しています。実現可能なゴールを設定し、そこから逆算して計画を立てることで、必ず目標を達成することができます。経営やリーダーシップの本質について語っていますが、何かを成し遂げたい、夢を実現したいと思っている人であれば誰でも読む価値のある一冊です。

9) 『ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代』ダニエル・ピンク(著)

作家のダニエル・ピンクは、仕事のあり方や行動科学について、いくつかの著書を発表しています。人類の歴史全体を見渡した上で、「農業の時代」「工業の時代」「情報の時代」の次に来るのは「コンセプトの時代」だと主張し、今後企業が存続するためのカギは一言で言うと“クリエイティビティ"だと述べています。本書の和訳は大前研一によるものです。

10) 『思考の整理学』外山滋比古 (著)

良いアイディアは天から降りて来るものではなく、努力によって身につけられる習慣から生まれて来るものです。本書はそれを実現するための具体的な手法についてはあまり触れていませんが、「考え方の考え方」と言うプロセスについて書かれています。20年以上前に発表された著書ですが、未だにパソコンとの付き合い方、人工知能に負けない方法を学校では教わることがない現在において、本書は今なお必読の書と言っていいでしょう。

11) 『僕は君たちに武器を配りたい』滝本哲史(著)

マッキンゼー出身の経営コンサルタントで現在京都大学で教鞭を握る、滝本哲史が日本の20代に向けて書いた著書です。投資家の視点から、資本主義の荒波の中で、日本人が今後どのようにして生き残れるのか、自分の価値をどのように高めれば良いかについて解説しています。若い読者には、これからの時代(もうすでにその時代は訪れているわけですが)、勉強ができるだけでは生き残れない、と言うことを強く実感していただきたいです。

12) 『[新版]ブルー・オーシャン戦略―――競争のない世界を創造する』W・チャン・キム、レネ・モボルニュ(著)

限られた海域で競争が激しいあまり海が血で赤く染まった“レッド・オーシャン"から抜け出し、競争に打ち勝つ、もっと言うと競争をしなくても勝つこと、つまり“ブルー・オーシャン戦略が提唱されています。新版には一部に改定された部分と新たな章も加わり、より実践的な手法が紹介されています。

13) 『レバレッジ・シンキング 無限大の成果を生み出す4つの自己投資術』本田 直之 (著)

少ない人財でより、大きな成果を出すための方法論“レバレッジ・シンキング"を紹介する良書です。コンサルティング事業とベンチャー企業への投資事業を行う著者、本田直之によると、その鍵は「労力」「時間」「知識」「人脈」への自己投資が大切であるとのこと。また、その大前提とされるのが、はっきりとしたゴールを設定することで、ひたすら努力すれば必ず報われる、と言う妄想から目を覚まさせてくれます。ビジネスだけでなくスポーツや脳科学のノウハウも多く取り入れているので、とても読みやすい一冊です。

14) 『ロジカル・シンキング』照屋 華子、岡田 恵子(著)

ビジネスを進める上では、「問題をロジカルに捉えられるか」また、「解決策をロジカルに考え出せる」「それもまたロジカルに相手に伝えられるか」がポイントとなります。こうすることで物事がスムーズに運びます。しかし、ロジカルに振る舞えないと、認識の齟齬が生まれて破綻してしまいます。ビジネスパーソンにとって必要不可欠なことは、論理的な思考です。本書は、問題の要素を重複なく、漏れなくリスト化する技術(MECE、ミッシー)をはじめ、具体的なロジカル・シンキングの手法を紹介しています。

15) 『あなたの脳のしつけ方』中野信子(著)

頭では分かっていても、いつも同じような行動や思考に陥ってしまう・・・そんな悩みを抱える人にオススメの一冊です。何しろ脳は筋肉であるので、いかに正しい動きや習慣を身につけ、それを意識して繰り返し運動させることで、その効果は仕事でもプライヴェイトでも現れてきます。そのための具体的な手法が紹介されています。

16) 『2022―これから10年、活躍できる人の条件』神田昌典 (著)

日本の将来を憂う書物が多い中、日本のこれからを前向きに捉えた経営コンサルタント・神田昌典によるキャリア論です。日々やらなくてはいけないことに追われて生きていると、1年先のことはおろか、来週のことでさえ想像できなくなってしまうという人は多いのではないでしょうか。本書は、10年先まで予想した上で、今の自分がどういう行動を起こすべきかを考えることで、初めて掴める機会があるということを述べています。


5.エピローグ

今回ご紹介した本は、コンサルティングとは、直接関わりのないビジネスパーソンにとっても必読の書ではないかと思います。

特に日本の大学では、経済学部でも経営学部でも一般論や古い理論しか教えていないので、“リアル"なビジネス・スキルを身につけるためにもこの16冊は、必読なのではないでしょうか。


GEAR & BUSINESS #013

世界標準のビジネス・スキルを身につけるためのヒントを与えてくれる16冊 - 一流のビジネスパーソンになるための書籍 (2)


Page Top