1.プロローグ
僕はこれまで、住んでいるアパートメントがコンパクトなこともあり、“インテリア"というものに正直興味がありませんでした。自宅でも、座って作業をすることが多いので、“アーロン・チェアー"を使っていることとオーディオにこだわっているぐらいで、その他のものは、友人からもらったものや『IKEA』や『ニトリ』(新宿と渋谷にできて重宝しています)で必要なものだけを購入していました。
ステーショナリーや小物は、渋谷『LOFT』や渋谷や新宿の『東急HANDS』でよく購入をしています。
しかし、最近NEW YORK TIMES誌の発行している、ライフスタイルマガジン『T JAPAN』の翻訳が増え、その中に家具やインテリアの分野の記事が多く、次第にこの分野にも興味を持つようになり始めました。
表参道から青山周辺には、国内外の有名なインテリア・ショップが数多く点在し、勉強も兼ねてチェックするようになりました。
実用性とコストパフォーマンスを考えれば、IKEA、ニトリの商品が優れているのですが、デザイン性や使用感は、高価なインテリア・ショップの製品が優れていることがわかってきました。
アメリカ人の富裕層は、友人や知人を自宅に招いて、家の中のインテリアや家具を見せるという習慣を持っています。自宅というものが自分の生活空間というだけではなく、他人に見てもらうためのパフォーマンスの場でもある訳です。
おそらく、土地の広いアメリカ大陸においては、敷地が大きいだけでは、富の大きさ、つまり自分の成功の証しを表現していることにならないからでしょう。家具・調度品の豪華さや趣味の良さをアピールする必要性が生まれたのでしょう。
そのことを東京で暮らすようになって、初めて理解できました。
僕も頑張って、青山のインテリア・ショップの家具を購入できるようになりたいと思う、今日この頃です。
2.カッシーナ
高級デザイナー家具で知られる、90年以上の歴史を誇るイタリアの家具メーカーです。イタリアのインダストリアル・デザインの代名詞的な存在です。
世界の名だたる建築家とのコラボレーションのイメージが特に強いと言っていいかもしれません。例えばブランドの代表作としては、ル・コルビュジエのソファ・チェア「LC2」やラウンジ・チェア「LC4」、ヘーリット・トーマス・リートフェルトの「レッド・アンド・ブルー・ラウンジチェア」や「ジグザグ・チェア」、シャルロット・ペリアンの「メキシク・テーブル」など数多くあります。
いちょう並木通り近くにある青山本店では、カッシーナの家具だけでなく、同ブランドが展開する比較的安価のセレクト&オリジナル・ブランド「ixc.」(イクスシー)の商品も販売されています。
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カッシーナ・イクスシー青山本店
3.ボーコンセプト
デンマーク発祥、65年以上の歴史を持つインテリア・ブランドです。「手の届く贅沢品」で知られています。
北欧/デンマークのデザインといえば、シンプリシティと機能性重視です。ボーコンセプトでは豊富な形や大きさ、様々な素材やカラーの中から選ぶことができ、カスタム家具を作り上げることができるのも魅力的の一つです。
代表作の「Squillaチェア」はテニス・ボールの曲線からアイディアを得たデザインだそうです。(ちなみに海外では「Imola Chair」と呼ばれているようです。)
デンマークの代表的なブランドといえば、「レゴ」が思い浮かびます(ちなみに僕は大学に入るまでてっきりアメリカのブランドだと思っていましたが・・・)。そういう意味ではボーコンセプトの家具も“ビルディング・ブロック”(積み木)に見立て、空間に合った組み合わせ方をしたり、自分のライフスタイルに合った空間を作り上げていくことをコンセプトとしていると言っていいでしょう。
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ボーコンセプト 青山本店
4.HHスタイル
アメリカの「ハーマンミラー」、スイスの「ヴィトラ」や「USMハラー」、日本の「マルニ木工」など、オフィス向けの家具から自宅に取り入れたいインテリアまで、多くのデザイナー家具がコレクションされています。
青山本店/ショールームの目玉は、壁一面に並べられた100脚の椅子のディスプレイです。それだけで訪れる価値のあるデザイン歴史の展示と言ってもいいです。また、ブランドごとに商品を並べるのではなく、様々なものをミックスした空間を提案しているので、想像力が掻き立てられます。
ちなみに店名の「HH」は hundred happenings から頭文字をとっていて、「数多くの出会いと発見の場にしたい、ひとつの価値観ではなく100の価値観でひとつの商品を見てほしい」という思いが込められているそうです。
そういえばBigBrotherも、ある分野について勉強したい時は、少なくとも100、ものによっては1,000を見れば何かが掴めると良く言っています。
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hhスタイル
5.アクタス
ヨーロッパの高級家具を日本へ輸入する会社の先駆者的存在であるアクタスは、シンプルでナチュラルなライフスタイルを提供しています。家具だけでなく、衣・食・住にまつわるインテリア商品も多く揃えています。
]輸入家具以外にも、近年ではオリジナル・ブランドの展開に力を入れている印象があります。
目玉商品はソファで、その中でも特に人気なのは、「ファイブ・バイ・ファイブ」のレザー・ソファ「3350 SOFA」、デンマークの有名ソファ・ブランド「アイラーセン」の布ソファ「STOCKHOLM SOFA」だそうです。
「アクタス・キッズ」という子供家具のコレクションもあり、ベッドや学習デスクからウォール・ステッカーやランドセルまで、コンパクトな子供部屋を楽しくしてくれる商品が揃います。
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6.ロイズ・アンティーク
美術館に訪れた感覚で楽しめるロイズ・アンティークスの青山店にはイギリスを中心にヨーロッパから買い付けられたアンティーク家具が並びます。
英国のアンティークを中心とした「クラシック・ライン」、北欧デザインを彷彿させる温もりのある「モダン・ライン」、エッジの効いたイタリアンモダンのものからなる「コンテンプラリー・ライン」、ヨーロッパの田舎で使われていた家具を集めた「カントリー・ライン」など、様々な時代やスタイルの家具や什器、雑貨が広い店内に配置されています。
どれもヨーロッパ現地の職人の手による修復過程を経ているので、長年受け継がれてきた親子の絆や伝統がそこに生きている気さえします。
完全に英国の老舗をイメージさせるブランド名やホールマーク(ロゴ)でありながら、実は1988年に東京に1号店をオープンした日本を代表するインテリア・ショップです。高度経済成長期を経てバブル経済時代の日本において、かつて根強くあった「モノを大切にする精神」が失われていると創業者は感じ、ヨーロッパのアンティーク文化を輸入することでその精神を蘇らせようと思って創業に至ったそうです。
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7.シボネ
2014年の移転・リニューアル以降「New Antiques, New Classics」というコンセプトを掲げてきた、インテリアを通してライフスタイルを提案するショップ/ブランドです。
家具はもちろん、目玉は長く付き合いたくなるシンプルでありながらゴージャスな工芸品、什器(じゅうき)、食器、雑貨です。美容品やルームフレグランスから焼き菓子までも揃えています。
青山本店のエントランスを入ってすぐのところにギャラリー・スペースもあり、1~2ヶ月ごとに新しい企画展が開催されています。
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シボネ
8.Francfranc
「カジュアルスタイリッシュ」をコンセプトとし、日本全国に100店舗以上を展開する日本の大手インテリア・ショップです。
シンプルで合理的な商品が多い「無印良品」、北欧スタイルの「イケア」に比べ「Francfranc」はより個性的なデザインやデコラティヴな柄のものが多いので、インテリアを楽しみたい方はお手頃な価格で高品質なものが揃えられます(もちろんシンプルなデザインのものもありますが)。
人気商品にはバリエーションが豊富なディフューザーや食器、うさぎ型の立つしゃもじ「ラビット・ライススプーン」やフレンチブルドッグ型のテーブル・ランプなど、カワイイものが多く、特に20代~30代前半の女性に人気のブランドです。
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フランフラン
9.ZARA HOME
ファスト・ファッション・ブランド「ZARA」を展開するスペインのアパレル・メーカーによるインテリア・ショップです。トレンドを先取りした斬新なデザイン、一見値の張りそうな商品がお手頃な価格で買い求められます。
ベッドルームやダイニングルーム用のリネンなどのホーム・テキスタイルを中心に食器、ルームウェア、そのほか様々な雑貨を取り扱っています。一番の人気商品はベッドシーツとベッドカバーです。種類が豊富に用意されているので、部屋の雰囲気をガラッと変えたい方は是非チェックして見てください。
クッション・カバーやチェスト用のノブ、ナプキンやディッシュクロスのバラエティも見事で、友達をよく部屋に呼んでディナー・パーティーをやるタイプの人は、英語で言うconversation piece (話の種となるアイテム)を入手できること間違いないでしょう。
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ザラホーム 青山店
10.AREA
外苑前駅近くにお店を展開する日本の高級インテリア・ブランドです。インテリア空間というAREA(領域)はSPACE(空間)とその空間に注ぎ込まれるPRIDE(誇り)によって作り出されるものだとし、流行に囚われず、後ろ向きではなく前向きな「和」のインテリアを目指しています。
北青山の旗艦店「AREA Tokyo」では選び抜かれた素材を使ったオリジナル家具が店頭に並んでいます。また、インテリア・コーディネートを専門とするスタッフもいるので、インテリアのプラニングをサポートしてくれたり、空間のトータル・デザインまでも行なっています。また、ソファやダイニング家具の他、豊富な一点モノのテーブル板の中から好きなサイズとデザインを選び、自分だけのテーブルをフルオーダーすることができます。僕もいつかここで一生モノのテーブルを作ってみたいと思います。
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11.エピローグ
日本の富裕層(特に成金)のデザインやクリエイティブという分野への支出の方法には、かなり偏ったところがあるように思えるとScarletは、語ります。
例えば、自動車について言えば、誰もが知っているドイツ車を買う時でも、一番低いグレイドの無償カラー(たいていは白)を買う人が多いとのこと。
現在のドイツ車で言えば、そのメーカーのいいところが出てくるのは、中位グレイド以上の車種ですし、500万円以上支払う車なのに、ペイント代を少しでも安くするというのは、どこかケチくさいと感じられるとのこと。
つまり、車のことはよく知らず、色に対するセンスもないので、とりあえず有名なメーカーの白い車を買っておくというのが実情なのでしょう。
しかも、そういう高額な自動車に乗っていながら、自宅のインテリアは、安物や派手なものばかりという人がとても多いのではないでしょうか。
車は、他人に見られるけれど、自宅は他人に見せないからなのでしょう。
自動車やインテリア・デザインを選ぶセンスということは、とても大切なインテリジェンスの一部だと、Scarletは言います。
どんなファッションをしているのか、どんなインテリアの家に住んでいるのかは、その人の人格や知性のレベルを表していると、Scarletは断言しています。