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“インプリシット・バイアス"(潜在的な偏見)とコーヒーの覚醒作用
  - Eテレ『世界へ発信!SNS英語術』#ImplicitBias (2018/05/17放送) | LANGUAGE & EDUCATION #001
Photo: ©Derek Makishima
2021/06/15 #001

“インプリシット・バイアス"(潜在的な偏見)とコーヒーの覚醒作用
- Eテレ『世界へ発信!SNS英語術』#ImplicitBias (2018/05/17放送)

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KAZOO
翻訳家 / 通訳 / TVコメンテイター

目次


1.プロローグ:楽屋オチ

今回は、久しぶりにゴリさんと共演しました。前週の#StarWarsDayの回を自宅で見ていて、相当うらやましかったようです。楽しいテーマだったということもあるかもしれませんが、僕が『アベンジャーズ・インフィニティ・ウォー』でスパイダーマンを演じるトム・ホランドにインタヴューしたことが特に悔しかったようです。ゴリさんは映画監督として作品を発表していて、映画にとても詳しいので、映画ファンとしてもうらやましかったのだと思います。

SNSの世界では#MeTooや#NeverAgainといった社会運動が繰り広げられることもあれば、かわいい動物の写真やくだらないミームが拡散することもあります。また、ハッシュタッグ・ゲームといった“大喜利"のようなテーマも多く見受けられます。そんな幅広いトピックがある中、ゴリさんが登場する回は、なぜかシリアスな内容が多くなっています。

この日、リハーサルに臨む時、ちょっとした笑えるハプニングがありました。スタジオに入った時、ゴリさん、古田さん、僕の3人共が、グレー系のジャケットとカーキ系のズボンというアンサンブルとなってしまい、衣裳が“被って"しまいました。

この番組はブルー・バックのセットで収録しているため、着られる洋服の色が極端に限られてしまいます。そのため、男性陣の出演者は、どうしても衣裳が似てしまうのです。

結局、本番ではゴリさんが別の衣裳に着替えて下さることで、問題は解決しました。


2.Implicit Biasの問題はなぜ難しいのか

この回では、#ImplicitBiasというハッシュタッグを紹介しました。事の発端は、世界的に有名なコーヒー・チェインのフィラデルフィア州にある支店で起こった事件でした。何も注文せずに席に座っていた黒人男性2人のうちの1人が、トイレを使わせて欲しいと店長に頼んだものの断られました。その後も数分間、コーヒー・ショップの中にいたところ、店長が警察を呼び、2人は逮捕されてしまいました。

この事件を通じて語られていることは、この店長の中には、“インプリシット・バイアス"が働いていたのではないか、ということです。“インプリシット・バイアス"とは、自分が置かれた社会的・文化的状況によって無意識のうちに培われる、人種などある特定なグループの人々に対して抱く偏見のことです。店長自身の中に根付いていた黒人に対するステレオタイプの差別意識が“無意識"にあり、それ故にこの人物を“怪しい"と感じてしまい、警察を呼んだのではないかということです。この“無意識"というところが最大の問題で、自分自身でも自分が抱いている潜在的な偏見を把握することが、非常に難しいのです。

因みに、日本での暮らしが長いアメリカ人の僕がこの事件を通じて感じたことは、この問題の背景には、「アメリカの公共トイレの汚さ」という問題があるのではないかということです。日本に比べ、アメリカの公共トイレはどこもとても汚いため、カフェやファストフードのトイレが事実上「公共トイレ」として使われています。そのため何も注文せずにお店に出入りする人が非常に多く、そのためお店のスタッフは、常にそうした人に注意を払わなくてはなりません。

こうしたことが、ストレスとなっていたことも事件の一因なのかもしれません。


3.今週の衣裳について

「ティンバーランド」のデッキ・シューズ

「ティンバーランド」のデッキ・シューズ
今週の衣装のポイントは、去年の夏に購入したデッキ・シューズです。デッキ・シューズは別名ボート・シューズとも呼ばれており、ボートやヨットなど、船のデッキ(甲板)で使用するための靴です。

ティンバーランドと言えばストリート・ファッションの定番である黄色いブーツのイメージが強いですが、こちらのデッキ・シューズ(税込22,680円)もオススメです。

デッキで足を滑らすと命を落とす危険性もあるため、滑りにくくなっている独特なソールがポイントです。このデッキ・シューズの場合、ワークブーツ特有のラグ・ソール (凹凸加工の靴底)になっています。

紐が革製なので、最初は結びにくいのですが、次第に柔らかくなります。また、靴紐が履き口の周りにも沿って通されていることも特徴です。靴紐を取り替える場合、紐通しに苦労しそうですが、「シューレースニードル」という専用ツールを使うことで、革紐の交換が手軽になっています。

実際にデッキ・シューズを船で使う場合は、裸足で履くのが普通ですが、今回は船ではなく番組のヴァーチュアル・セットであることと、まだ靴を慣らしているという事もあり、黄色い靴下を履きました。

「ファブリック・トウキョウ」のグレーのピンストライプのボタンダウン・シャツ

「ファブリック・トウキョウ」のグレーのピンストライプのボタンダウン・シャツ
前回リハーサルのカメラチェックで、モアレが出てNGが出たユニバーサル・ランゲージのシャツは、黒いストライプのコントラストが強すぎたことが原因でした。今回のボタンダウン・シャツのグレーのストライプは、コントラストが比較的弱いためか、問題ありませんでした。

出来上がって来た時点では、襟周りが少しパリッとし過ぎていたため、一度水洗いしてから今回の収録の時に着てみました。形態安定加工がされており、アイロンをかける手間が省けるため、とても便利です。

「ブルックス・ブラザーズ」のベイジュ色のチノパン

「ブルックス・ブラザーズ」のベイジュ色のチノパン
今までは、ジャケットとズボンが同じ生地のスーツが中心だったので、今回は少しドレス・ダウンしてブルックス・ブラザーズのカジュアル・ラインである『レッド・フリース』のチノパンを履きました。

チノパンはブランドやメイカーによって5,000円弱のものから30,000円くらいのものが入手できますが、値段と造りと見た目のかっこよさのバランスを考えると、10,000円のこちらのチノパンはとてもコスト・パフォーマンスが高い商品と言えます。

スリム・フィットでありながら、ストレッチ性のあるコットンで作られているので、履いていてタイトな感じはせず、スタイリッシュなシルエットになるのでとても気に入っています。

製品が仕上がってから色を染めると言う「ガーメント・ダイ加工」が施されているので、色合いもとても良く、ベイジュ色以外にも番組用のものとプライベイト用のものを含めて4本購入しました。

「イセタンメンズ」の茶色いメッシュ・ベルト

「イセタンメンズ」の茶色いメッシュ・ベルト
茶色い革ベルト(特に新品)を白やベイジュ色のズボンと合わせると、色移りする危険性があるので、薄めの色のズボンを履く時は、伊勢丹メンズ館の1階で購入したこの網ベルトをよく使います。

値段は9,720円(税込)で、造りがしっかりしていて、ストレッチ性もあるので、とても締めやすいので、普段から愛用しています。

茶色以外にも黒や、2色を織り合わせたものなどバリエーションがあります。

「タビオ」の黄色いソックス

「タビオ」の黄色いソックス
今回はタビオの『メンズ パワーフィット2×2リブソックス』(税込1,080円)のイエローを履きました。イエローの靴下を履くのは、人生初めての経験です。

履き心地がとてもよく、生地も厚過ぎず、通気性があるので、緊張のあまり汗をかきまくる収録でも、足元は快適です。

また、今回はデッキ・シューズと組み合わせたため、いつも以上に靴下を「見せる」ことができたのもポイントです。

「ブルックス・ブラザーズ」のグレーのジャケット

「ブルックス・ブラザーズ」のグレーのジャケット
伸縮性のあるとてもいいジャージー素材なので動きやすく、肩パッドもないのでソフトな着心地のジャケットです。

高めのゴージー・ラインと狭めのラペルがすっきりとした印象を与えてくれます。

青山のフラッグシップでこのジャケットをとてもいいなと思い、取り置きをしてもらっていたのですが、その他のブランドのジャケットも、もう少し着てみたかったので、新宿の伊勢丹メンズ館のスーパーサイズのフロアに行ってみました。いろいろなブランドのジャケットも試着してみたのですが、結局は、このジャケットを購入しました。

「白山眼鏡」の茶色のメガネ

「白山眼鏡」の茶色のメガネ
白山眼鏡店のこの眼鏡には、金属部分があるので、ブルーバック(クロマキー)には、適していないと思っていたのですが、技術担当の方とも相談の上、問題がなかったので、使用してみました。

これは「GLAM PROTO」というプラスチック製のモデルなのです。普段している眼鏡とはイメージを変えるため、思い切って太いフレームにしてみました。

モニターで見ると実物より黒く見えますが、かなり薄い綺麗な茶色の眼鏡です。

4.エピローグ

番組の最後に、鳥飼先生が紹介された“Wake up and smell the coffee"という慣用句は、アメリカではとても良く使われる表現です。目の前の現実を認めようとしない時や、気付こうとしない時に、「自分が置かれている状態を把握しなさい」「現実に目を覚ませ!」と言った具合で使う表現です。

カフェインが苦手な人には、“Wake up and smell the decaf"という別の言い方の方がいいのかもしれませんが。

因みに、収録日の朝、NHKのエレベイターに、たまたま乗り合わせていたNHK職員の女性が「いつも番組見ていますよ」と声をかけてくれました。テレビに出るようになって、このように声をかけられたのは、初めての経験だったので「ありがとうございます。今から収録です」だけしか言えませんでした。

なんだか、少し有名人になったような気がして嬉しくなり、その後もしばらく上の空でした。いうまでもなく、収録前にコーヒーを一杯いただきました。が、今思うとそれはむしろ“ハイ"を増幅させただけな気がします。


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