1.プロローグ
2010年代前半のEDMブームの時に比べれば、人気が衰えたとはいえ、現在もクラブ・ミュージック/ダンス・ミュージックのニーズはとても高く、渋谷にも数多くのナイトクラブが連日賑わっています。
レイヴ / フェスも5月のEDCや9月のULTRAなどが多くのオーディエンスを集めています。
僕が初めて行ってインパクトを受けたWOMBを始め、様々なタイプのナイトクラブがあるのが渋谷の特徴です。
2.音響とダンスがメインのナイトクラブ
ナイト・クラブの楽しみ方は、色々ありますが、より良い音響システムの大音量で音楽を楽しむという“クラバー"という存在があります。また、踊ることが目的という“ダンサー"という存在もいます。そうしたどちらの人々を満足させるナイト・クラブが渋谷エリアには充実しています。
●ウーム
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イギリスの人気クラブ雑誌“DJマガジン"が毎年選出している“TOP 100 Club"において、ほぼ毎回選ばれているのが『ウーム』です。“ラブホ街+クラブ街"で有名な円山町の真ん中にある、コンクリートの打ちっ放しの建物の中は、まさに東京・日本のナイト・クラブを代表するというべき空間となっています。
大きなミラーボールで有名なメイン・フロアはもちろんの事、1階のラウンジ、3階のVIPもとても雰囲気のいい空間となっています。
一時期言われていた、サウンド・システムのクオリティの低下も2016年の改装によって改善され、文字通り日本を代表するナイト・クラブになっています。
音楽ジャンルとしては、テック・ハウス、テクノ、エレクトロニカ、ドラムンを中心としており、音響好き、踊り好きのためのハコです。
<VENUE INFO>
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●サウンド・ミュージアム・ヴィジョン
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2011年にオープンした『ヴィジョン』は、道玄坂の中間位のところに位置し、大きなダンス・フロアが2つあり、キャパシティも、1500人ぐらいの大バコです。
2つのダンス・フロアの床は、木製のため踊りやすく、ラウンジ・エリアやバー・カウンターもあり、ゆっくり休むこともできるため、踊り好きには、大変好評です。
音質、VJ、ライブなどもレベルが高く、DJセットだけでなく、LIVEセットのイヴェントも行っています。
音楽ジャンルは、特に決められていないので、公式HPでチェックしてから、来場することをオススメします。
アイドルのファンの集まりみたいな日もあるので、注意が必要です。
<VENUE INFO>
●コンタクト
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道玄坂の中程にある駐車場の奥の地下2階にある、『コンタクト』は、2016年4月にオープンした新しいナイト・クラブです。フロアは、メインとバーフロアの2つがあり、キャパシティは、600人ぐらいの“中バコ"です。
テック・ハウス系がメインで、日本人DJだけでなく、海外からのDJも招聘しています。会員制を取っているので、公式HPでのメンバー登録が必要となっています。
<VENUE INFO>
●ヴェント (表参道 / 青山)
厳密には、渋谷とは言えませんが、イチオシのナイト・クラブが、2016年にオープンした表参道交差点近くにある『ヴェント』です。
ミニマルなデザインの内装と、世界初のオリジナルなサウンド・システムは、とても斬新で、とてもよい音楽体験ができるハコです。
ジャンルは、テクノ/ハウスで、海外からのトップDJも多数出演しています。
<VENUE INFO>
3.円山町の老舗クラブ
東急Bunkamuraから道玄坂へ抜ける通り、通称“ランブリング・ストリート"には、クラブやライブ・ホールが数多く存在しています。
円山町といえば、かつては“ラブホ街"として、有名でしたが、現在では、“クラブ街"としての認識も高まっています。ここには、様々なスタイルのクラブが共存しており、日々様々なパーティーが開催されています。
●クラブ・エイジア
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『エイジア』は、円山町のランブリング・ストリートにある老舗の中バコのクラブ兼ライブ・ホールです。
キャパシティは、メイン・フロアが300名、1階のバー・エリアが50名、2階のラウンジ・フロアが70名で、様々なイヴェントに対応できるようになっています。
座席もセッティングできるので、ファッションショーやレセプション、会社説明会などにも利用できます。
EAWのサウンドシステムと200インチのスクリーンがあるので、DJイヴェントだけでなく、LIVE会場としても活用できます。
<VENUE INFO>
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●ヴエノス
※ヴエノスは2020年5月31日に閉店しました。
Club Asiaの前にある『ヴエノス』は、エイジアと同じculture of Asiaの系列のマックス300人キャパシティの中バコのクラブです。
メイン・フロアの4隅にある巨大スピーカーから重低音が出るため、レゲエやHIPHOP系のイヴェント/パーティーがよく開催されています。
●クラブ・ハーレム
円山町の通称“ランブリング・ストリート"にある、クラブ・ビルとして有名な、ドクタージーカンズにある『ハーレム』は、1997年のオープン以来、HIP HOPのハコとしてとても知られた存在です。
1階がエントランス・ホールとなっていて、2階のメイン・フロアは、1000人近いキャパシティがあります。中2階には、VIPルーム、3階はBX CAFÉがあります。
HIP HOPが好きな人は、必ず行くべきクラブです。
<VENUE INFO>
●アトム・トウキョウ
“ラウンブリング・ストリート"のクラブ・ビル、ドクタージーカンズビルの4、5、6階にある、今年で14周年を迎える『アトム・トウキョウ』は、“ナンパ・バコ"として有名です。
4階は、ラウンジ的な「CAVE」、5階はメイン・フロアの「HALL」、6階はレディースエリアとバーのある「LOFT」、VIPは、4,5階にあります。VIPでは食事も楽しめます。
各々のフロアが全く違ったイメージなので、長時間いても飽きることがありません。
音楽ジャンルは、ハウス、EDMなどの“アゲアゲ系"を得意としています。
ドレス・コードもあるので、公式HPでチェックしてから行くことをオススメします。
<VENUE INFO>
4.“出会い"の確率の高いナイトクラブ
独身のクラバーが相手を求めて訪れる場所を英語では「ミート・マーケット」(meet market もしくは meat market)と言います。クラブの楽しみの1つは、“ナンパ"であることは、否定しがたい事実でしょう。ダンスや音楽を純粋に楽しんでいる女の子を無理矢理“ナンパ"するのは、愚の骨頂でありますが、バーエリアなどでスマートに話しかけることは、むしろ紳士のマナーとさえ言えるでしょう。
●クラブ・キャメロット
タワーレコードの近くの『神南坂FLAME』のB2/B3にある、キャパシティ1200人以上のナンパ系大バコが『クラブ・キャメロット』です。
3つのダンス・フロアと1つのバーと数多くのVIPエリアという様式となっています。B3のメイン・フロアでは、ハウス・EDM系の“アゲアゲ"のチューンを楽しむことができます。B2のメイン・フロアは、HIP HOP、R&Bなど“BLACK MUSIC"を楽しむことができる。
3つ目の“WHITE FLOOR"では、パーテイー/イヴェントにより様々なタイプの音楽が提供されています。
<VENUE INFO>
●TK 渋谷
センター街の交番のすぐ近くにある、『ちとせ会館』のB1にある、かつての『T2』を2017年にリニューアルしたのが、『TK SHIBUYA』です。
ワンフロアのキャパシティ1200人の“大バコ"で、週末はもちろん平日でも、パーティー/イヴェントによっては、パンパンに入ることもある人気の“ナンパ・バコ"です。
内装、照明にも力を入れており、クラブというより“ディスコ"というイメージのハコです。もちろんVIPも人気があります。
音楽ジャンルは、いわゆる“ALL MIX"と呼ばれるスタイルで、ハウス、R&B、EDMなどの人気のチューンを楽しむことができます。
<VENUE INFO>
●Rラウンジ
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『アール・ラウンジ』は、『東急ハンズ』の向かい側にある、6、7階の2フロア130坪(約430㎡)の大バコのクラブです。
パーティー/イヴェントによって異なるのですが、6階がHIP HOPで7階がテクノ・ハウスのようなジャンルになっていたりします。エントランス・フィーが安い日もあり、クラブ初心者にも、楽しめるハコです。
オタク系の日もあるので、必ず公式HPで、パーティー/イヴェントの内容をチェックしてから行ってみてください。
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●ローレル・トウキョウ
道玄坂と246の間のエリアに2017年5月にオープンした、キャパシティ120人の中バコが『ローレル・トウキョウ』です。
“大人"をターゲットとしており、ラウンジのようなシックな内装は、高級感が漂っています。
サウンド・システムもハイグレードなものを使用しており、長時間いても“音疲れ"がしにくいハコです。
音楽ジャンルは、ハウス、テクノ、EDMを中心に大人向けの選曲になっています。
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5.ラウンジ系小バコ
渋谷には、個性的な小バコも数多く存在しています。リピーター率が高く、歴史の長いハコが多いのも特徴です。
踊ったり、ナンパしたりするのではなく、音楽や空間を楽しんだりするためのラウンジ系小バコにも、是非一度行ってみることをオススメします。
●ザ・ルーム
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桜丘町にある、『ザ・ルーム』は、1992年にオープンした老舗クラブです。
沖野修也率いる『KYOTO JAZZ MASSIVE』 がプレイするハコとしても有名です。(ちなみに沖野修也はこのクラブのプロデューサーでもあります。)
音楽ジャンルは、JAZZ、クロスオーバーが中心で、日によってはハウスもかかったりします。
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●クラブ・ボール
1996年から宇田川町で営業しているミュージック・バーです。
良質な音楽を良質なサウンド・システムで提供してくれる『クラブ・ボール』は、全国にファンがおり、コミュニティー空間としての役割も果たしています。
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●オルガン・バー
東急ハンズの向かい側にある『モンベル』のビルの奥にある、『オルガン・バー』は、1995年から営業している“サブカル系"の小バコ・クラブです。
様々なジャンルの音楽をセンスよく繋げるスタイルは、クラブ初心者にも上級者にもオススメです。
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6.エピローグ
今回は渋谷付近のナイトクラブを取り上げました。朝まで踊り明かしたい四つ打ち好きのためのヴェニュー、パーティ・ピープルが通う老舗のクラブ、遊び人に人気の“ナンパ箱"、雰囲気を楽しみたい人のためのラウンジ系小バコなど、アクセスしやすいエリアに数多くのクラブが密集しています。次回は、70年代・80年代・90年代の東京のナイトクラブ・シーンについてBigBrotherにインタヴュー形式で伺った内容を掲載する予定です。お楽しみに!