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初心者のためのテニス入門 (2) 確実に上達するためのラケット選び
  - フェイス・サイズ/スイート・スポット/長さ/重さ/バランス/グリップ/ストリングス・パターン | SPORTS & CULTURE #003
Photo: ©RendezVous
2021/07/05 #003

初心者のためのテニス入門 (2) 確実に上達するためのラケット選び
- フェイス・サイズ/スイート・スポット/長さ/重さ/バランス/グリップ/ストリングス・パターン

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BigBrother
プランナー / エディター / イヴェント・オーガナイザー

目次


1.プロローグ

テニスを始める人が一番驚くことは、ショップに行くととてもラケットの種類が多いことではないでしょうか。

様々なメイカーが様々なタイプのラケットを販売していることに、驚くと同時に迷ってしまうことでしょう。

しかも、同じメイカーの同じデザイン(コスメティクス)なのに、重さやグリップの太さの違いがあり、初心者でなくても、ラケット選びはとても難しい作業となるのです。

今回は、こうした問題に役立つようなコラムにしようと思っています。


2.フェイス・サイズ

フェイス・サイズとは、ラケットの面の大きさのことで、平方インチ(in²)で表されます。

一般的には、面が大きい程よく飛び、面が小さい程コントロール性がよくなります。

スウィング・スピードの遅い、初心者やヴェテランの女性などは、大きめ(100~115)、パワーのある男性でタッチを重視するようならば、小さめ(90~100)のフェイス・サイズを選ぶと良いでしょう。

フェイス面が大きく、ウェイトが軽いベテラン・プレイヤーにもオススメのラケット


3.スイート・スポットの大きさ

スイート・スポットとは、ラケットの中心付近(最近は中心よりやや先にあるものもある)で、最もそのラケットでストリングスの性能が引き出される部分のことです。打感も良い部分でもあります。

一般的には、スイート・スポットは、フェイス・サイズが大きくなる程、広くなりますが、広いスイート・スポットのラケットは、狭いスイート・スポットのラケットと比べ、打感が悪くなる欠点もあります。

メイカーのコンセプトの違いによってバボラとヨネックスでは、スイート・スポットが広い反面、打感はやや鈍くなります。ウィルソンとヘッドは、ややスイート・スポットは狭めですが、打感に優れているとされています。

打感については、モデルやストリングスの種類、テンションによっても全く異なってきます。


4.ラケットの長さ

ほとんどのラケットは、27インチ(約68.6cm)になっています。

厚ラケでは、27インチよりも長いものもあります。

クラブ・レベルで最も人気のある「バボラ」の『ピュア・ドライブ』は、0.5インチ長いモデルを販売していることでも知られています。長い間『プリンス』を使用していたダヴィド・フェレール選手が短い期間だけこの0.5インチ長いピュア・ドライブ・プラスを使用していたことが一時期話題となりました。

長いラケットのメリットは、パワーが少し不足してきたプレイヤーが早いサーヴィスを打てる点にあります。錦織圭選手も0.25インチ長いモデルを使用しています。

錦織選手の27.25インチ使用モデルとバボラの0.5インチ長いモデル


5.ラケットの重さ

日本のカタログやサイトでは、基本的にストリングスを張っていない状態のラケット本体のみをグラム(g)で表示されておりますが、アメリカでは、ストリングスを張った状態でオンス(oz)で表示している場合もあります。

様々なメイカーから250~330g位の商品が多く販売されています。女性は、280g前後のモデル、コンペティター向けは310g以上のモデルが多くなっています。

初心者や女性には、軽いモデルをオススメすることが多いのですが、本格的にテニスをしたい人には、300~315gのちょっと重めのラケットでしっかりボディ・スウィングを身につけるのもいいと思います。


6.ラケットのバランス

ラケットの重さのバランスは、プレイ・スタイルに大きく影響します。グリップ側にバランスがある“トップ・ライト"のラケットは、コントロール性が高く、ラケット・ヘッド側にバランスがある“トップ・ヘビー"のラケットは、振り抜き易くパワーが出ます。

ジュニア時代の錦織選手は、“トップ・ヘビー"のラケットで海外選手のパワーに負けないスウィングを身につけたことが知られています。

ラケットバランスは、グリップエンドからの長さが320mm(ミリ)のものが標準とされ、それ以上長いものが“トップ・ヘビー"とされています。

因みに“トップ・ライト"のラケットで有名なのがロジャー・フェデラー選手の使用しているラケットです。

錦織選手がかつて使用していたラケットをイメージしたトップヘビーのラケット(日本国内のみの販売)


7.グリップ・サイズ

グリップの太さについては、実に様々な考え方があります。原則的には、細いグリップの方が手首を使いやすく、太い方は、反対に手首が使いにくくなります。

一般的には、手の大きい人が太いグリップ、女性とか子供などは細いグリップが良いとされています。振りやすいと言う点でいうと、グリップが太い方が力が入りやすいと言う人もいる一方、細い方が振りやすいと言う人もいるなど、意見が分かれます。

日本人では、女性は1、男性は2の人が多いようですが、アメリカでは、4とか5のグリップが多い一方、かのロジャー・フェデラー選手は、2のグリップを使用していることが知られています。

私の個人的な意見では、男性の場合、はじめのうちはまり手首を使わないように3とか4とかのグリップを使い、次第に細くするというのがいいのではないかと考えています。反対に女性は2から初めて、スウィングが出来てきてから3とか4に太くするのがいいのではないかと思います。

初級・中級の女性にオススメのモデル


8.ラケットの形状

ラケットの形状には、ラケットのフレイムを輪切りにした時の形が四角形に近い“ボックス型”と楕円形をした“ラウンド型”に分類できます。

最近は、その中間的な形状のものに人気が集まっています。

“ボックス型”の代表的なラケットは、フェデラー選手が使用する「ウィルソン」の『プロ・スタッフ』、“ラウンド型”は、ナダル選手の使用している「バボラ」の『ピュア・アエロ』、中間型は、ジョコヴィッチ選手の使用している 「ヘッド」の『スピード・プロ』です。

“ボックス型”のライケットは、コントロール性能とタッチ(打感)がよく、“ラウンド型”は、パワーがあり、スピンもかかりやすくなります。

“ボックス型”は、スイート・スポットが狭いのですが、そこでヒットした感触は、とてもよく、テニスの楽しさの1つと言っても良いでしょう。


9.フレイムの厚さ

フレイム(英語ではビーム)の横から見た時の厚さの違いによっても、ラケットの性能は、大きく異なります。

30mm程度のいわゆる“厚ラケ"は、剛性(ねじれに対する強さ)が高く、ボールをよく弾きます。スイート・スポットも広く、ダブルス中心の50歳代以上のシニア、ヴェテランの方には、オススメです。

20mm前後の“薄ラケ"は、良くしなるためボールを“乗せて打つ"感覚を味わえます。ロジャー・フェデラー選手の使用するウィルソンのプロ・スタッフRF97Autographは、その代表的な例で、21.5mmの厚さになります。

一般的には、25mm前後の“中厚モデル"が人気となっています。

ノバク・ジョコヴィッチ選手の使用するヘッド・グラフィン360・スピード・プロは、23mm。ラファエル・ナダル選手の使用するバボラ・ピュア・アエロは、23mm/26mm/23mmとセンター部分が厚くなるデザインとなっています。


10.ストリングス・パターン

ストリングスの本数の組み合わせによってもラケットの性質は、大きく変化します。

ラケットを縦にした時の縦のストリングスを“メイン"と呼び、飛びやスピン性能に影響します。横のストリングスは“クロス"と呼び、打球感に影響します。

基本は、“メイン"と“クロス"に同じストリングススを張るのですが、“メイン"と“クロス"を全く違うタイプ(ナリュラル、マルチ、ポリなど)のストリングスを組み合わせる“ハイブリット"というのも人気となっています。

ストリングスのパターンは、(メイン×クロス)は、16×19が主流となっています。これより、目が細かい18×20というパターンはコントロール性能が高くなり、パワーが少し弱くなります。また、グリゴール・ディミトロフ選手が使用していたウィルソンのプロ・スタッフ97Sという“Sラケ"などは、18×17という少し粗めにすることで、スピン性能を高めています。

ディミトロフ選手がかつて使用していたSラケ


11.黄金スペックとは

日本のテニスラケット業界には、“黄金スペック"と呼ばれる基準があります。

幅広いテニス・プレイヤーに大人気のバボラのピュア・ドライブのスペックのことです。

フェイス・サイズ:100平方インチ(in²)
ウェイト :300g
長さ :27インチ
バランス :320mm
(ストリングス・パターン:16×19を加えることもある)


アメリカにおいては、体力、体格がバラバラなので、“黄金スペック"という1つの基準に合わせたがる日本人の特徴をよく表していると思います。

注)ラケットは、1つ1つにかなりのスペックのバラつきがあります。(特に海外で販売されているものは。)スペックにこだわる方は、通販ではなく、リアルショップでの購入をオススメします。

黄金スペックと呼ばれるラケット

バボラ『ピュア・ドライブ』フェイス・サイズ: 100 in²
ウェイト: 300g
長さ: 27インチ
バランス: 320mm

ウィルソン『ウルトラ100CV』
フェイス・サイズ:100 in²
ウェイト:300g
長さ:27インチ
バランス:320mm

ウィルソン 『バーン100SCV』フェイス・サイズ:100 in²
ウェイト:300g
長さ:27インチ
バランス:320mm

ヘッド 『グラフィン360 エクストリームMP』
フェイス・サイズ:100 in²
ウェイト:300g
長さ:27インチ
バランス:320mm

ヨネックス『イーゾーン 100』
フェイス・サイズ: 100 in²
ウェイト: 300g
長さ: 27インチ
バランス: 320mm

ヨネックス『Vコア プロ 100』
フェイス・サイズ:100 in²
ウェイト:300g
長さ:27インチ
バランス:320mm

スリクソン『レヴォCV3.0』
フェイス・サイズ:100 in²
ウェイト:300g
長さ:27インチ
バランス:320mm


12.エピローグ

次回は、『ラケットについての基礎知識』の後半です。ストリングスのタイプやスペックの違いについて紹介します。お楽しみに!


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