1.プロローグ
ラケットを選ぶ以上に、テニスプレイヤーを悩ませるのが、ストリングスの選択です。
今回は、ストリングスの基本知識にについて、ご説明していきます。(※ストリングスの詳細については、ラケット以上に薀蓄がありますので、後日特集いたします。)
ストリングスは、大きく分けて4種類あります。(最近は、中間的な商品もありますが)1)ナチュラル 2)モノフィラメント 3)マルチフィラメント 4)ポリエステルの4種類です。
また、ストリングスの太さ(ゲイジ)については、様々なものがありますが、16/1.30mm、17/1.25mmが中心となります。毎日練習して、1ヶ月以内に切れないのであれば、細い17(1.25mm)の方がパワーの弱い日本人には、適していると思います。
ストリングスの種類
2.ナチュラル・ガット
かつては羊(シープ)の腸(ガット)から多くは作られていましたが、現在は牛の腸を使用しているものが多いようです。
価格が(張り代も含めると)4,000円~1万円と高いのが欠点ですが、中・上級者は、是非一度試してもらいたいストリングスです。
ナチュラルは、打球感、ホールド感、パワー、テンションの維持率と全ての点で優れており、手首、肘や肩にも負担が少ないとされています。
ただし、湿気や汚れに弱いので、取り扱いにはケアが必要です。
●オススメのナチュラル・ガット
3.モノフィラメント
通称「モノ」と言われるナイロン素材のストリングスで、バランスが良く、値段も安いので、幅広いレベルのプレイヤーにオススメできます。
耐久性があり、切れにくいのですが、3~6か月位で、張り替えることをオススメします。
●オススメのモノ
4.マルチフィラメント
通称「マルチ」と呼ばれるナイロン素材のストリングスで、細かい繊維を集めたもので、ナチュラルに近い打感があります。
モノフィラメントに比べると耐久性は劣りますが、パワーもホールド感も良く中・上級者にオススメです。
●オススメのマルチ
5.ポリエステル
通称「ポリ」と呼ばれるポリエステル素材の単一構造のストリングスです。
製品によりスピン性が高いものであったり、耐久性が高かったりなど様々な特徴のあるストリングスです。
基本的に他のストリングスに比べとても“硬い"ので、常時トレーニングを行なっている上級者やコンペティター以外は、使用しない方がいいと思います。
多くのプロが使用しているので、マネをして初心者や中・高生がポリを張っていることが良くありますが、テニスが上手くならないだけではなく、怪我をすることも多いので、一般の人は、使用しないことをオススメします。
●オススメのスピン系ポリ (より細いゲイジの方がスピンがかかりやすいです)
●オススメのオールラウンド系ポリ (※太いゲイジの方が耐久性はありますが、細いゲイジの方がパワーがあります)
6.ハイブリッドのセットパック
ハイブリッドにする場合は、一般的には、メインにポリ、クロスにナチュラルかマルチを張ることが多いのですが、フェデラー選手をはじめ、トッププロの多くは、メインにナチュラル、クロスにポリを張っています。錦織選手は、両方のスタイルを試しているようです。
2018年9月のUS OPENに優勝した大坂なおみ選手は、メインにYONEX ポリツアープロ125、クロスにYONEX REXIS 130というハイブリッドを張っているようです。
●オススメのハイブリッドパック (※ストリングス・メイカーが予め、準備している組み合わせの商品。)
ストリングズのテンションとゲージ
7.ストリングスのテンションについて
ストリングスを高いテンションで張ればボールは、飛びにくくなり、柔らかく張ればボールは、飛びやすくなります。
スピンとテンションの関係については、諸説あり、ストリングスの性質やそのプレイヤーのスウィングのスタイルによって変わると考えられます。
例えば、バボラの『ピュア・アエロ』に角のあるブラストを張り、フルスイングで強打するのであれば、テンションは高めの方がスピンがかかります。
しかし、ウィルソンのプロ・スタッフの“Sラケ"に滑りやすいテクニファイバーの『レッド・コード・ワックス』を張った場合、テンションを低めにした方が、スピンがかかりやすく感じます。
錦織選手も手首を痛めてから、ストリングスをルキシロン『4G』から『エレメント』に変え、テンションも低くすることでスピン量を増やしているようです。
季節や天候によっても変化するので、テンションについては、実は難しいところがあります。上級者やコンペティターにとっては、とても厄介なところでもあります。
また、とても気になっているのは、一般のプレイヤーがとても高いテンションでストリングスを張っていることです。
メイカーのカタログなどにも適正テンションとして50-60ポンドとなっているので、55ポンドぐらいがいいと思っている方が多いようですが、一般的な日本人であれば、45ポンド位が適切だと考えています。特にポリについては、低めのテンションをオススメします。
最近のラケットは、とても“硬い"ので、ストリングスのテンションは、低めにした方が結果的にいい球が打てると思います。
8.ストリングスのゲージ(太さ)について
ほとんどのストリングスは、複数のゲージ(太さ)が用意されています。
多くは16(130mm)または17(125mm)(※数字の大きい方が細い)ですが、ポリエステルのストリングスは、もっと細い18(120mm)以下の製品もラインナップされています。
太いゲージのものは、耐久性があるとされていますが、これは切れにくいのであって、良い性能が続くというのでは、ありません。
ストリングスというものは、ラケットに張った時から、徐々に劣化(伸びていく)ので、できれば3か月、長くても6か月に1回ぐらいは、張り替えるべきです。
ポリの場合、日本人で正しい打ち方をしていれば、最も細いゲージを張っても、毎日2時間程度の使用ならば、切れることはないはずです。
細いゲージのストリングスは、太いものに比べて、スピン性能もパワーもタッチも良いので、モノ、マルチ、ポリのいずれかについても細いゲージのものをオススメします。
プロや大学の体育会の選手のように1日6~8時間ハードに練習するのであれば、太いゲージにするメリットがありますが。
●柔らかく感じる細いゲージのオススメのポリ・ストリングス
次回は、有名ラケットメイカーの人気モデルについて解説します。お楽しみに。