1.プロローグ
中学・高校時代には、文学作品を数多く読んできましたが、同時に映画も友人の中では、最もよく観る方でした。
今回は、その中でも特に印象に残っている映画を紹介していきます。
2.『ガープの世界』 (1982年) 主演:ロビン・ウィリアムズ
ジョン・アーヴィングの『ガープの世界』の実写版は、僕に大きな影響を与えました。
この映画の最大の魅力は、2014年に残念ながら自殺してしまった主演のロビン・ウィリアムズです。とても長い期間のガープを演じているのですが、どの年齢についてもリアルな感じが見事というしかありません。
多くの日本人は、常にしなくてはならない目の前の仕事にばかりに、気を取られて、一生とか人生とかの意味を考えていないように感じます。
人生について、考えてみたい人は、この作品がうってつけだと思います。
この映画の原作となった小説も映画とは、また別の趣きのある作品なので是非、読んでみてください。
3.『ブルーハワイ』 (1961年) 主演:エルビス・プレスリー
この映画を観ると、僕の母がどうしてハワイに移住したのかがわかるような気がします。
70年代までのアメリカもしくは、ハワイというところが日本人にとって、いかに憧れの地であったかということがとてもよく分かります。
80~90年代のアメリカで育った僕には、アメリカの光の部分よりも影の部分が強く感じられました。
カルフォルニアという土地が(進歩主義運動が盛んであったものの)太陽が降り注ぐ“夢の国"ではなく、人種差別や格差の対立がひどい、僕にとっては、とても息苦しいところのように感じました
一方、子どもの頃、家族と訪れたハワイという場所は、あらゆる人種がとても仲良く暮らしていて(少なくとも無邪気な僕には)、とても気に入りました。その時にオアフ島のノースショアのバンザイ・パイプラインで見たチューブライドに感動しました。あのビックウェーブに、いつかは、挑戦したいと思っています。
4.『ジュラシックパーク』 (1993年) 監督:スティーブン・スピルバーグ
恐竜が地球を征していた頃、カリフォルニアのほとんどは海に覆われていました。そのため、カリフォルニアは決して豊富な化石の産出地ではありません。
それにもかかわらず、子供の頃から州のあちこちにある博物館を訪れるうちに僕は恐竜に“巨大"な興味を持つようになったように、カルフォルニアの子供の多くは、一度は、恐竜学者を夢見るものです。僕は、その夢を未だに諦めていないかもしれません。
この、『ジュラシックパーク』だけではなく、スピルバーグの作品は、全て観るのがアメリカ人のルールです。
スピルバーグは、いわば“ギーク"なのですが、日本人の“オタク"とは、違って、彼は、普遍性を持っています。それは彼が、映画監督として成長したのと並行してユダヤ人としてのアイデンティティと向き合ってきた姿勢にあると僕は、思っています。『シンドラーのリスト』や『ミュンヘン』を観るとそのことがよくわかります。
5.『スターウォーズ』 (1977年) 『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』 (1980年)『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』 (1983年) 監督:ジョージ・ルーカス
僕の世代、つまり初期ミレニアル世代にとって、スターウォーズの最初の三部作は、歯磨きを忘れても夜遅くまで起きて観なくてはならない作品シリーズです。
日本に移住してから公開された、『フォースの覚醒』『ローグ・ワン』『最後のジェダイ』でさえ、UCLA時代からの友人(日米のハーフ)と公開初日に観に行きました。
カルフォルニアの少年にとって、恐竜学者になることと同じように宇宙飛行士(あるいはスターファイター・パイロット)になることを夢見ることも必然なのです。
6.『ゴッドファーザー』 (1972年) 監督:フランシス・フォード・コッポラ
移民国家アメリカにとって、この映画(及び原作となったマリオ・プーゾの小説)は、現代におけるバイブルなのではないでしょうか?
この映画で、描かれている時代には、白人のイタリア人でさえ移民としての背景と宗教を理由に迫害されていたわけで、僕が育った80~90年代においては、アジア人(日本人、韓国人、中国人、フィリピン人など)がその反感やステレオタイプの対象となっていました。
多くの日本人にとっては、アメリカにおける人種差別というと、黒人に対するもののように思われていますが、現実には、『ゴッドファーザー』が示しているようにイタリア人やアイルランド人と言ったカソリック系の白人に対しても行われていたことを忘れてはいけません。アメリカ社会において人種差別は根深いです。
7.エピローグ
僕の育った、サンタクララの写真をBigBrotherに見せた時、『アメリカン・グラフティ』の街のようだと言われました。確かにジョージ・ルーカスとコッポラによって製作された“アメグラ"は、戦後の「黄金の時代」においてアメリカの郊外に暮らす普通の人々の生活と人生を見事に描いた青春映画です。(映画の舞台となっているモデストは、僕が育ったサンタ・クララから車で1時間半くらいです。)
正に“アメリカン・ドリーム"という感覚です。
BigBrotherは、フォードの黄色いデューク・クーペに乗って街をクルージングするポール・ル・マットが演じるジョン・ミルナーに憧れて、若い頃はキャメルをTシャツの袖に入れて、ロールアップしていたそうです。
その気持ちは、僕にもよくわかります。僕自身も、少年時代には、ウルフマン・ジャックのようなラジオDJにも憧れていたのですから。