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KAZOOの『SNS英語術』映画コーナー (14) 
 映画『トイ・ストーリー4』の監督とプロデューサーのインタヴューを振り返って
  - Eテレ『世界へ発信!SNS英語術』(2019/07/26放送) | CINEMA & THEATRE #018
Photo: ©RendezVous
2022/03/28 #018

KAZOOの『SNS英語術』映画コーナー (14)
映画『トイ・ストーリー4』の監督とプロデューサーのインタヴューを振り返って
- Eテレ『世界へ発信!SNS英語術』(2019/07/26放送)

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KAZOO
翻訳家 / 通訳 / TVコメンテイター

目次


1.Prologue

今回は、ピクサーの最新作『トイ・ストーリー4』のプロモーションのために来日していた監督のジョシュ・クーリーとプロデューサーのマーク・ニールセンをインタヴューすることができました。


2.ピクサーの最新作 『トイ・ストーリー4』について

『トイ・ストーリー』シリーズは、その名前の通り、おもちゃの視点から描かれた物語です。持ち主である少年・アンディがいない時に自由に話したり行動したりする“生きている"おもちゃたちの冒険が描かれています。(人間の前ではそれを見せてはいけないのが“おもちゃのルール"です。) 表面的には、カウボーイ人形のウッディとスペース・レンジャーのバズ・ライトイヤーの友情が中心となる、基本的には子供向けの単純なストーリー設定です。

しかし、カラフルなヴィジュアルとは裏腹に、そこには「壊れたおもちゃはどうなるか」や「持ち主が大人になるとおもちゃはどうなるか」のような重いテーマが物語の中核となっています。人間に置き換えると、見捨てられることへの恐れや大人になることなど、人間にとって根本的な問題が描かれています。『トイ・ストーリー』と『トイ・ストーリー4』の間では実に24 年ものスパンがありますが、このシリーズが大人も子供も限らず幅広い層を魅了し続けてこられたのは、こういった普遍的なテーマが提示されているからなのでしょう。

『トイ・ストーリー』(1995年)
本作はフルCGアニメイションによる初の長編劇場用映画です。ヴィンテージのカウボーイ人形のウッディは、少年アンディのお気に入りのおもちゃとして日々カウボーイごっこに興じています。ところがアンディは誕生日に最新の宇宙ヒーローであるバズ・ライトイヤーのアクション・フィギュアをプレゼントされ、ウッディは自分がバズに取って代われるのではないかと焦り始めます・・・

『トイ・ストーリー2』(1999年)
アンディと遊んでいるうちに右肩の糸がほつれてしまったウッディは、自分が捨てられるのではないかという悪夢を見ます。そんな矢先、ウッディはあるおもちゃマニアに強奪され、日本のおもちゃ博物館に売却されることになります。バズはおもちゃの仲間と共に、相棒のウッディの救出を試みます。本作はゴールデングローブ賞・作品賞を受賞しました。

『トイ・ストーリー3』(2010年)
大学への進学を控えたアンディは、寮へ引っ越すのに際して、お気に入りのウッディだけを持っていき、バズとその他の仲間たちは、屋根裏部屋にしまうことにします。しかしおもちゃたちは誤って託児所に寄付されると、ウッディは彼らを救うために動き出します。本作はアカデミー賞・長編アニメーション賞を受賞しました。

最新作の『トイ・ストーリー4』では、ウッディや仲間たちの新しい持ち主である少女のボニーが先割れスプーンで作った新キャラクター「フォーキー」が加わります。そんなフォーキーにとって父親のような存在であり保護者でもあるウッディが直面するのは、「親になること」と「自立すること」という問題です。1作目の誕生から24年、『トイ・ストーリー』シリーズは、今なお進化を続けます。


3.『トイ・ストーリー4』の監督とプロデューサーのプロフィール

監督のジョシュ・クーリーのプロフィール

ジョシュ・クーリーは2003年にピクサー・アニメーション・スタジオのストーリー部門にインターンとして入社しました。2006年の『カーズ』や2007年の『レミーの美味しいレストラン』でストーリーボード・アーティストなどを務め、2015年の『インサイド・ヘッド』で監督などと共に脚本を担当しました。『トイ・ストーリー4』で長編映画監督デビューを果たしました。

プロデューサーのマーク・ニールセンのプロフィール

1996年にピクサー・アニメーション・スタジオに入社し、1992年の『トイ・ストーリー2』などでモデリング及びシェーディング・コーディネーターを担当しました。2006年の『カーズ』ではストーリー・マネージャーとクラウズ・マネージャーを兼任し、2015年の『インサイド・ヘッド』などでアソシエイト・プロデューサーを担当しました。『トイ・ストーリー4』で初めて長編映画のプロデューサーを務めました。

『カーズ』(2006年)
自分勝手なルーキー・レーサーの「ライトニング・マックィーン」がカー・レースの最終戦で新人チャンピオンを狙うロード・ムーヴィーです。車などの乗物を擬人化したキャラクターを中心としたストーリーとなっており、人間や動物は一切登場しないことが話題となりました。本作はゴールデングローブ賞・アニメーション映画賞を受賞しました。

『レミーの美味しいレストラン』
シェフになることを夢見るネズミの「レミー」はフランスの有名レストランで働く見習いシェフの「リングイニ」に見つかり、2人はタッグを組んでパリ一番のシェフを目指す物語です。本作はアカデミー賞・長編アニメーション映画賞とゴールデングローブ賞・アニメーション映画賞など、賞を多数受賞しました。

『インサイド・ヘッド』
11歳の少女・ライリーは生まれ育った田舎町を離れ、家族と共にサンフランシスコへ引っ越すが、慣れない大都会に戸惑います。ライリーの頭の中“司令部"には、「喜び」「悲しみ」「怒り」「嫌悪」「恐れ」を擬人化した5つの“感情"が、彼女を幸せにするために日々奮闘するという物語です。本作はアカデミー賞・長編アニメーション映画賞とゴールデングローブ賞・アニメーション映画賞など、賞を多数受賞しました。


4.ピクサーはなぜヒット作を次々と生み出すのか

ピクサーはこれまで数々のヒット作を世に送り出し、ストーリー を最優先させると同時に映像技術をどんどん進化させてきたことで知られます。その中でも、『トイ・ストーリー』シリーズはピクサー・ブランドの中核となる存在です。

プロデューサーのマーク・ニールセンはインタヴューで、ピクサーという会社は『トイ・ストーリー』シリーズのキャラクターたちがヒットしたことによってここまで成長することができたと話しました。そしてヒット作を次々と製作できるのは、「ひとえにスタジオで働く人々と彼らの気持ちと精神である」と語ってくれました。

今回監督として初抜擢されたジョシュ・クーリーは、2人の子供の親でもあるそうです。監督は映画を製作する中で、「親になるということはどういうことなのか」という問題を経験するウッディや、自分の存在理由がわからないフォーキーに自分を重ね合わせていたと語ってくれました。初監督というプレッシャーをどうやって乗り越え、課題を解決したかを尋ねたところ、「より頭のいい人の助言を受け、判断を委ねることにした」と答えていました。

ところで、映画の場合、「作品は誰のものか」という問いに対して、一般的に「監督」だと答える日本人は多いでしょう。20世紀の後半以降、スティーヴン・スピルバーグ、マーティン・スコセッシ、黒澤明など、強力なヴィジョンを持った映画監督の存在もあってそのイメージが生まれました。しかし、そもそもある映画の製作のゴーサインを出し、最終的に世に送り出せる状態に仕上げる上で欠かせないのがプロデューサーという存在です。

映画監督は脚本を映画作品として作るに当たって、製作現場全体を仕切り、撮影や編集などの細かい指示を出し、管理します。一方でキャストとの契約交渉をしたり、監督が予算やスケジュールを守り、没頭しすぎたり暴走しないように製作全体を“マネジメント"するのもプロデューサーの役割です。言ってみれば“親"として、監督が構想するヴィジョンを尊重し育みながらも、それが現実的であるかをチェックするのです。クーリーさんが言っていた「より頭のいい人の助言を受け、判断を委ねること」とは、それぞれの製作部の技術者のことだけでなく、プロデューサーたちのことも言っていたのでしょう。

長編アニメイション映画で初めて監督を務めたクーリーさんと、初めてプロデューサーを務めたニールセンさん。今回は2人を個別にインタヴューしましたが、2つのインタヴューを通してピクサーの人材力、そして監督とプロデューサーの関係の重要性を強く感じました。ピクサーが常に画期的な作品を世に送り出すことができるのは、そこに働く人が成長し、輝ける組織づくりがあるからなのです。そしてクーリーさんのような若手の監督が製作に没頭して自分のヴィジョンを作品にして発表できるのも、ニールセンさんのような良き“センパイ"がいるからではないでしょうか。『トイ・ストーリー4』の世界的な成功が、まさにそれを物語っています。


5.この日の衣裳について

「ラルフローレン」のネイヴィーのドットタイ

「ラルフローレン」のネイヴィーのドットタイ
こちらはBigBrotherからお借りした「ラルフローレン」のヴィンテージのネクタイです。

「グローバルスタイル」のネイヴィーのスーツ

「グローバルスタイル」のネイヴィーのスーツ
この商品は、以前紹介したのでCINEMA & THEATRE #005を参照してください。

「麻布テーラー」の青いクレリック・シャツ

「麻布テーラー」の青いクレリック・シャツ
この商品は、以前紹介したのでCINEMA & THEATRE #012を参照してください。

「イセタンメンズ」の黒い靴下

この商品は、以前紹介したのでCINEMA & THEATRE #005を参照してください。

「リーガル」のウィングチップ・シューズ

「リーガル」のウィングチップ・シューズ
この商品は、以前紹介したのでFASHION & SHOPPING #009を参照してください。

「MFYS」の渦巻きのカフリンクス

「MFYS」の渦巻きのカフリンクス
この商品は、以前紹介したのでLANGUAGE & EDUCATION #016を参照してください。

「999.9」のメガネ『M-27』

「999.9」のメガネ『M-27』
この商品は、以前紹介したのでCINEMA & THEATRE #005を参照してください。

CINEMA & THEATRE #018

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