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テニス選手はオン・コートでもオフ・コートでもファッション・アイコンである
  - テニスウェアとスタイルについて (1)
  - ルネ・ラコステ/フレッド・ペリー/ロジャー・フェデラー/アナ・ウィンター | FASHION & SHOPPING #048
Photo: ©RendezVous
2022/11/07 #048

テニス選手はオン・コートでもオフ・コートでもファッション・アイコンである
- テニスウェアとスタイルについて (1)
- ルネ・ラコステ/フレッド・ペリー/ロジャー・フェデラー/アナ・ウィンター

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KAZOO
翻訳家 / 通訳 / TVコメンテイター

目次


1.プロローグ

「SPORTS & CULTURE」のカテゴリーで、これまで僕やBigBrotherがテニスの魅力やラケットの薀蓄について述べてきました。今週は、テニスを語る上でギアや戦術などと同じくらい興味深い、ウェアについての話をします。


2.テニス・ファッションの過去と現在

ポロ・シャツにテニス用の短パン、あるいはテニス・スカート、そしてヘッドバンドとリストバンド、というようにテニスには独自のスタイルがあります。このようにテニスとファッションの融和性はとても高いのです。

ウィンブルドン選手権では伝統的に“全身白"のウェアの着用が義務付けられています。そもそもテニスというスポーツは、会員制のカントリー・クラブなどで行われるスポーツでした。そのため、伝統的にドレス・コードが必要とされてきたのです。

テニスとファッションの繋がりは、近年より強まってきているように感じます。 90年代ごろからテニス史に名を残すような大スター選手の活躍により、「ナイキ」のウェアは機能性に優れているだけでなく、デザインもずば抜けてカッコいいというイメージが定着しました。21世紀に入り「アディダス」も多くのプロ選手と契約しており、大坂なおみ選手もその1人です。錦織圭選手やロジャー・フェデラー選手と契約している「ユニクロ」の進出も目立ちます。そして、世界各地で開催されている大会に、お気に入りのテニス選手がどのような格好で、コートに登場するかを楽しみにしているファンも多いのではないでしょうか。

私達がが気づいている以上に、テニスから生まれたファッションは日常生活にもかなり溶け込んでいます。例えば、ワニのトレイドマークのポロ・シャツで知られる「ラコステ」は、フランスの元プロ・テニス選手のルネ・ラコステが1933年立ち上げたブランドです。また、スウェットバンドの販売からスタートし、今やストリートウェア・ブランドとして知られる「フレッドペリー」も、イギリスの元プロ・テニス選手が1952年に創業したものです。そして「アディダス」の人気の定番スニーカー『スタンスミス』は、今では巷で一番良く見かける靴の1つではないでしょうか。(しかしこのスニーカーを履いているほとんどの人は、スタン・スミスがそもそもテニス選手であったことを知らないことでしょう。今ではタウン・ユースのスニーカーとなってしまいましたが、当初はクレイ/アンツーカー用のテニス・シューズとして使用されていました。)


3.Tennis Players as Style Icons

男性のプレイヤーだけを取り上げても、このように、テニス・プレイヤーがファッション・アイコンとなった例は、これまでも数多くあります。前述のロジャー・フェデラー選手もその1人です。彼はアメリカの男性ファッション誌「GQ」で『最もスタイリッシュな男性』に選ばれていおり、“RF"のロゴがついたウェアは長年「ナイキ」の大人気ラインでした。また、アメリカの女性ファッション誌「ヴォーグ」の編集長であるアナ・ウィンターとも親交が深いことから、彼がいかにファッションに関心があるかがうかがえます。因みに、アナ・ウィンターは、仕事の前にテニスを毎日のようにすることで知られています。

また、フェデラー選手と同じくスイスのスタン・ヴァヴリンカ選手は、“ダサカッコイイ"ウェアで知られている選手です。2015年に全仏オープンで優勝した際には、白と赤のチェック柄という派手なデザインの短パンが話題となりました。優勝後の記者会見ではテーブルにトロフィーの横にその短パンを並べ、「(自分ではなく)短パンが全仏オープンを優勝した」と言って記者団を笑わせたくらいです。また、2016年に上下ピンクのウェアを着て全米オープンで優勝した時も、やはりそのウェアが話題となりました。今や、彼が着るウェアのダサかっこよさが、その大会での勝運のひとつの指標となっているとさえ言えるのではないでしょうか。

僕のバックハンドは、シングルハンドなので、ラケットは、フェデラー選手とヴァヴリンカ選手の推奨モデルを使用しています。また、ウェアのスタイルという面でも、その偉大なる2人のシングルハンド・プレイヤーをお手本としています。今週はこの2人にインスパイアされた、ハードコート用とオムニコート用のアンサンブル、そして僕が使用しているラケットやガットを紹介します。個人的には、ハードコードが好きなのですが、日本でプレイする時は、オムニコート(主に日本にしかないサーフィスです)が多いので、オムニ/クレイ・コート用のシューズも所有しています。ファッションのポイントは色々ありますが、僕にとっての“ドレス・コード"が1つあります。それは、ウェアをひとつのブランドで揃えないことです。以前このコラムでも書きましたが、上下同じブランドのウェアを着てコートに現れると、僕のスタイリストのScarletは、「いつからスポンサーがついたの?」とからかいます。


4.エピローグ:テニス・コートの種類について

テニスのコートの種類には主に4種類あります。グラス・コート(芝)、クレイ/アンツーカー・コート(赤土)、ハード・コート(セメントやアスファルトを基礎として、場合によっては合成樹脂などでコーティングされたサーフィス)、そしてオムニ・コート(砂入り人工芝)です。また、室内コートと野外コートがあり、施設によっては開閉式屋根のあるスタジアムの中で試合が行われます。

グラス・コートは、球足が早く、やや沈み込むようにバウンドするので、すくい上げるような球を打たなければなりません。英国のウィンブルドン選手権が有名です。

クレイ/アンツーカーは、球足が遅く、ラリーが続きやすいので、フットワークが良い選手に有利になります。ヨーロッパの多くのコートがこのタイプです。

ハード・コートは、素材により、様々なスピードとバウンドの球足にすることができます。アメリカのほとんどのテニス・コートはハード・コートです。

・オムニ・コートは、球足が遅く、球威も弱くなります。雨の多い日本でとても普及しているサーフィスなのですが、このコートが多いため、世界レヴェルの選手が日本から出にくいのではないかと言われています。

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