1.プロローグ
温暖化の影響によって、春と秋が短くなってきたとはいえ、日本という島国は、それでも四季がはっきりとした国です。
近年の春先の“花粉"や真夏の“酷暑"は、不快なものの、四季の移り変わりによる風景の変化、食べ物の旬の変化など、楽しみがたくさんあります。
こうした四季の楽しみの1つが、冬の寒さです。この寒さのおかげで鍋物などがとても美味しくなります。
また、この冬の寒さと日本独特の山の地形のおかげで日本には、数多くのスキー場があります。
東京からでも数時間で上越や信越の本格的なスキー場に行くことができます。
私は、50年以上スキーを愛好していますが、日本のスキー場も、以前に比べ施設もサービスも格段に良くなり、アメリカ大陸やヨーロッパのスキー場に負けず劣らずのレヴェルにになりつつあります。
雪質に関しては、本州の多くのスキー場は完璧とは言えませんが、それでも蔵王や安比雫石などの東北地方の雪はとても上質で、外国人にも大人気のニセコを始めとする北海道のスキー場に至っては、世界有数のパウダー・スノウを楽しむことができます。
一方、東京について言えば、日本には背骨のような山脈があるため、冬の天候は、晴天が多く、数年に一度の大雪以外は、(近年の突然の大雪には驚かされますが)“適度な寒さ"を楽しむことができます。この寒さがあることで、冬物のアウターを色々と着ることができるのです。
カナダや北欧のような-30℃や-40℃ということにはもちろんならず、NYやロンドンのような、“痛い寒さ"でもありません。
東京は、公共交通機関が世界一発達しており、(迷路のような)地下鉄も完成したこともあり、都内では、長い距離屋外を歩くことはあまりありません。
正に冬物のオシャレ(コートやジャケット)を楽しむには、東京の寒さは最適な程度なのです。
上質なツイードのジャケットに、カシミヤのマフラーを巻き、軟らかな革の手袋といったスタイルも、東京の冬にはピッタリなファッションなのではないのでしょうか。
今回は、こんな東京の冬の寒さを楽しむための“アウター"が特に優れているブランドやショップを紹介します。
2.マッキントッシュ
「マッキントッシュ」は、産業革命の後半にスコットランドの化学者・チャールズ・マッキントッシュが防水布を発明したことで始まった、約200年の歴史を誇る英国の老舗アウターウェア・ブランドです。
縫い目の裏に特殊な接着剤と止水テープを施すことで雨の漏れを防ぐ『ゴム引きステンカラー・コート』は男女共にレインコートの定番スタイルです。水を弾くだけでなく、防風性や保温性に優れているため、夏や蒸し暑いレイニー・シーズン以外はとても快適です。
男性用のキルティング・ジャケットも定番商品として知られており、白文字で“MACKINTOSH"と刻印された丸いボタンが目印です。他にも男女用のダッフルコート、トレンチコートやダウンコート、ニットウェアなども揃っています。
<SHOP INFO>
マッキントッシュ 銀座シックス店
東京都中央区銀座6丁目10-1 GINZA SIX3F
3.バブアー
「バブアー」は、漁師や港湾労働者向けのアウターウェアを作るメイカーとして、1894年にイングランド・サウスシールズで誕生しました。ワックスをコーティングしたコットン生地で作られた「ワックスド・ジャケット」は、撥水性と保温性に優れており、雨がよく降る英国では元々は“作業服"として愛用されていました。
20世紀に入り、“カントリーウェア"のイメージが強まりました。80年代にはブランドを代表するワックスド・ジャケットの2つの定番が誕生しました。乗馬用のコートとしてデザインされた『ビデイル』と、狩猟や釣り用にデザインされた『ビューフォート』です。大きめの腰ポケット、両脇にあるハンド・ウォーマーのポケット、コーデュロイ素材の襟、真鍮製のジッパー、バブアー固有のタータン・チェックの裏地など、ブランドを象徴するディテイルが込められています。
最近は、アンワックスのモノや、お手頃な価格のモノなど、いろいろなアイテムを出していますが、このブランドの醍醐味は、やはりワックス・コーティングされたジャケットの風合いや経年変化を楽しむことではないでしょうか。他の布に接触すると油が移染する恐れがあるため、満員電車の中や、保管や手入れも注意が必要ですが、着れば着るほど自分だけの一着になる“育て甲斐"のあるジャケットです。
さらに「バブアー」は、複数の“ロイヤル・ワラント"(英国王室御用達)を賜っています。80年代には、ダイアナ妃が着用したことで、イギリスの若いアッパー層の女性にも人気が広まりました。最近ではキャサリン妃やメーガン妃も着用している他、多くのイギリスのセレブも愛用していることで、“カントリー・ウェア"としてよりも、現在ではオシャレな“アーバンウェア"という位置付けになってきています。
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4.カナダグース
「カナダグース」は、1957年にカナダのトロントで生まれたアウターウェア・ブランドです。創業当初から、極限の環境に挑む探検家や登山家、研究家などに製品を提供してきました。
ブランドを代表する『エクスペディション・パーカ』には、最上級のダックダウンが使用されており、最高の保湿性と保温力を持っています。ブラック、ロイヤル・ブルー、レッド、ミリタリー・グリーンなど、様々な色の展開があります。南極大陸が描かれたワッペンが目印です。
2017年に東京・千駄ヶ谷に旗艦店がオープンして以来、日本でも、アパレル業界の人や芸能人などに爆発的に売れ続けています。店内は、極寒地の氷山をイメージしたデザインになっています。最寄り駅であるJR・千駄ヶ谷駅と東京メトロ・北参道駅からも徒歩で10分以上かかるので、ちょっとした冒険に出た気分で訪れることができます。
<SHOP INFO>
カナダグース 千駄ヶ谷店
5.ヘルノ
「ヘルノ」は1948年にイタリアで設立された高級アウターウェアとアスリージャーのブランドです。1971年に大阪に日本1号店をオープンし、80~90年代を通して世界的なブランドへと成長を遂げました。
男女向けのレインコートが原点ですが、カシミアのコートやブランドを象徴する『Aライン』のダウン・ジャケットなど、数々の人気定番商品があります。2000年以降は、スポーツウェアに使われていた、機能的な生地を取り組むことで、都会的で洗練されたスタイルを提案してきました。
2018年秋冬より、新たにスポーティーでありながらエレガントな『リゾート』というコレクションの展開も始めています。騒がしい都会にいながらリラックスしたムードを作り出すことができます。
南青山にある旗艦店は、広々としたフロアにアームチェアやソファー、暖炉までが置かれていて、リヴィング・ルームをイメージした空間となっています。また、製品がハンガーではなく、レザーとスチールのフックからぶら下げられているので、まるでアルプス山脈の別荘にでも訪れた感覚にさせてくれます。
<SHOP INFO>
ヘルノ 青山店
6.モンクレール
「モンクレール」は1952年に設立されたフランス発祥で、現在はイタリアに本社を置く高級ダウンウェア・ブランドです。
職人の手によって一着一着丁寧に作られており、アルピニストやスキーヤーに愛用されているダウン・ジャケットの品質は、世界屈指で、フランス規格協会(アフノール)が定める最高品質の称号である“キャトル・フロコン"にも認定されています。また、フランスの国鳥である「オンドリ」をトリコロール(赤・青・白)で描いたロゴも、フランス・ブランドとしてのアイデンティティを表しています。
定番のダウン・ジャケット『エベレスト』は、高い機能性を誇りながらタイトなシルエットを実現しております。2005年に発表されたCMで、ある芸能人が着用したことによって、日本でも大ブレイクしました。その洗練されたデザインもあって、ビジネス・スーツにダウン・ジャケットを合わせるという、それまではあまり見ることのなかったスタイルが定着しました。
<SHOP INFO>
モンクレール 青山店
7.バーバリー
「バーバリー」は、1856年に設立されたイギリスの高級ブランドです。創業者のトーマス・バーバリーが、撥水性がありながら通気性にも優れている“ギャバジン"という綾織りの布を発明し、コートとして商品化したことで、大きく発展しました。
アイコニックなバーバリーのトレンチコートは、第一次世界大戦時に、塹壕戦に対応するために、イギリス軍の軍官が着用するための防水性を持つコートとして発明されました。その時の名残として、“エポーレット"と呼ばれる肩についている細い布は、元々階級記章を付けるために施されたものです。ベルト部分についている“Dリング"と呼ばれる金具には、弾薬盒や手榴弾を持ち運ぶために使われていたそうです。
因みに、キャメル地に黒・白・赤で構成されたあの有名な“バーバリー・チェック"は、そもそもはトレンチコートの裏地に使用されたのが最初とされています。1967年からマフラーをはじめ各種のアクセサリーにも施され、今ではブランドの代名詞とも言える存在となっています。
<SHOP INFO>
8.タトラス
「タトラス」は、ミラノに拠点を置き、イタリア、ポーランド、そして日本の企業の協業による、高級ダウンウェアのブランドです。
“ちょいワルオヤジ"の定番として、シャイニー・ナイロンが独特の光沢を醸し出す『クラーツ』が人気があり、女性の定番としては、曲線美を意識した『ポリテアマ』が人気です。
イタリアの職人技、ポーランドの上質なホワイトグースダウン、そして日本のデザイン性が組み合わさって実現したダウン・ジャケットは、カジュアル・スタイルやオフの日など、様々なシーンで活躍します。
青山の骨董通りにある『タトラス&ストラダエスト』の地下1階・2階には、国内初の旗艦店があります。メンズ、ウィメンズだけでなくキッズ・ラインまで展開しており、国内最大級の品揃えを誇ります。