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メンタルを鍛えるための具体的な手法を紹介している16冊
  - 一流のビジネスパーソンになるための書籍 (3)
  - ベン・ホロウィッツ/中島聡/ケリー・マクゴニガル/マルコム・グラッドウェル/岸見一郎 | GEAR & BUSINESS #014
2023/10/02 #014

メンタルを鍛えるための具体的な手法を紹介している16冊
- 一流のビジネスパーソンになるための書籍 (3)
- ベン・ホロウィッツ/中島聡/ケリー・マクゴニガル/マルコム・グラッドウェル/岸見一郎

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OCEAN
経営コンサルティング / エンジェル投資家

目次


1.プロローグ

『ビジネスに関する書籍』シリーズではこれまで、
1) 全ての人に読んでもらいたいビジネス書の名作16選
2) 世界標準のビジネス・スキルを身につけるためのヒントを与えてくれる16冊
を取り上げてきました。

今回は“メンタル"に関するオススメの書籍16冊を紹介します。ここで言う「メンタル」とは日本語で言う「心の問題」と言い換えることができるかもしれません。

メンタルや心は、目に見えない分、これまでは抽象的な概念として捉えられ、科学的にアプローチされて来なかった分野であります。特に日本人の場合は、「我慢する」「頑張る」と言ういわゆる「根性論」で自分のメンタルをコントロールしようとしてきた人が多いのではないでしょうか。

このコラムの中で取り上げる16冊の共通点は、自己洞察力、習慣力、意志力など、メンタルを強くする具体的な手法が、科学的な裏付けを元に説かれているところです。


2.『失敗の本質―日本軍の組織論的研究』

防衛大学の研究者を中心に、第二次世界大戦前後における日本軍の失敗と敗戦した原因を追求した1984年の名著です。大前提として「大東亜戦争は客観的に見て、最初から勝てない戦争」であることがそもそもの問題なのですが、それ以外にも行き過ぎた配慮や忖度、曖昧な命令による組織の暴走、一度計画を立てたらそれを変えようとしないスタンスなど、現代の日本人にとって耳の痛い指摘が解明されています。今の日本経済を見渡すと、戦争が終わってから半世紀以上経った今でも、本作に指摘されているような日本的組織の問題点が是正されていない企業や組織が多く存在していることがわかります。


3.『HARD THINGS』ベン・ホロウィッツ (著)、滑川海彦、高橋信夫 (翻訳)

シリコン・ヴァレーの著名な起業家であり、スタートアップ起業に投資を行うヴェンチャー・キャピタル「アンドリーセン・ホロウィッツ」の共同創業者でもあるベン・ホロウィッツが、乗り越えてきた数々の困難な体験を振り返りながら、課題とどう向き合い、そこからどのような教訓を得たかについて書いています。アントレプレナーにとって本当の「困難」(hard things)とは何か、それに立ち向かうための心構えと知恵を与えてくれる本作は、ホロウィッツ自身のブログの記事を元にしており、ユーモラスで率直な語り口が特徴です。ビジネスの教訓を補足する形でお気に入りのラップ歌詞を紹介しているのも読みどころです。


4.『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか』

『Windows 95』の設計思想を生み出した元マイクロソフトのプログラマーが、自身の経験を元に、仕事をする上でのスピードの大切さについて説いている本です。本書は、細かい時間術というよりも、日々の作業に追われ、本当にやりたいことが全然できていない人に向けた人生論・仕事論です。「遅い天才より、早い凡人がトップに立つ」ことや、「予定の2割の時間で仕事の8割を終わらせる」ことなど、意識改革を促してくれる良書ですので、特に新社会人にオススメの一冊です。


5.『なぜ、わかっていても実行できないのか』ジェフリー・フェファー、ロバート・I・サットン (著)

ビジネス書が世の中に溢れている中、人は「何をすべきか」を頭でわかっていても、なぜかそれが行動に移せないものです。組織行動論を専門とする米国・スタンフォード大学の人気教授が、その原因を探った名著です。「会議をしただけで仕事をした気になっている」「失敗を恐れている」「社内での足の引っ張り合いが多い」など、日本の組織にもありがちな要注意点と、その処方箋が詳しく書かれています。


6.『スタンフォードのストレスを力に変える教科書』
ケリー・マクゴニガル (著)

私たちは、ストレスというものは悪いものだと思い込んでいます。生活や仕事の中の悩みの多くをストレスのせいにしがちです。本書はストレスに対するそんな考え方に疑問を投げかけ、いかにストレスを受け入れて上手に付き合っていくことの大切さ、そしてその方法を説いています。


7.『天才とは努力を続けられる人のことであり、それには方法論がある』
山口真由 (著)

新しいことに挑戦してみたがうまくいかず、三日坊主で終わってしまった経験は誰にでもあるのではないでしょうか。元財務官僚で弁護士である山口真由は「反復して努力する」ことが大事であると説き、それを継続できる人を「天才」と呼ぶといいます。努力をする技術をわかりやすく紹介されています。


8.『天才! 成功する人々の法則』
マルコム・グラッドウェル (著)、勝間和代 (翻訳)

ビル・ゲイツやビートルズなど、成功する人々に共通するものは何なのかを追求した名著です。正しい努力を一万時間続ければ“一流"になれるという「一万時間の法則」が紹介されていることで有名です。また、アジア人が「数学的才能」を持っており、学力が高いのは、労働倫理や勤勉さを必要とする水田耕作という歴史・文化があったからだという見解を提示しています。本書は日本の経済評論家、勝間和代が翻訳しました。


9.『思考は現実化する』
ナポレオン・ヒル (著)

自己啓発本の原点のひとつとされる本書では、ヒルが500人を超える成功者をインタヴューし、彼らに共通した人生哲学をまとめています。題名にある“rich"(富)という言葉は本来金銭的なものと精神的なものの両方を指しますが、世界大恐慌中の1937年に出版されたこともあり、富を得ることが焦点となっています。


10.『結局、「すぐやる人」がすべてを手に入れる』
藤由達藏 (著)

面倒臭いことこそ先送りせずに、最初に取りかかるべきということに気付かせてくれる1冊です。ポイントは「すぐやること」ですが、それは無闇に取りかかるということではなく、その仕事を無数の小さい段階に小分けすることで最初の正しい一歩を踏み出しやすくすることです。


11.『自分を変える習慣力』
三浦 将 (著)

アスリートや経営者などにコーチングを行う著者が、いかに「根性」ではなく「潜在意識」を活用して、良い習慣を身に付けるための科学的手法を解説しています。そのキイとなるのが、「早起きをする」「運動をする」など「スイッチ」となる小さな習慣を最初に身につけることで、他の習慣も連鎖的に習慣化できるということです。


12.『絶対にミスをしない人の脳の習慣』
樺沢紫苑 (著)

精神科医がインプット、アウトプット、思考術と整理術を柱に、脳のコンディションを整えるトレーニング法を紹介しています。日常生活の中で高い自己洞察力を持ち、集中力を高く保つことでケアレス・ミスを減らすことができると著者は説明します。サラリーマンを始め日本の社会人なら一読したい著書です。


13.『自分の小さな「箱」から脱出する方法』
アービンジャー インスティチュート (著)

職場での人間関係がうまくいっていないと感じている方に是非読んでいただきたい一冊です。その原因の1つが分かるかもしれません。著者が言う「箱」とは、自分のことしか考えていない状態のことであり、様々なトラブルは自分で作り出しているかもしれないと言うことを気付かせてくれます。その小さな「箱」から抜け出すことができれば、周りの人とのコミュニケイションが取りやすくなり、物事がよりスムーズに運ぶようになるのです。


14.『嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え』
岸見一郎、古賀史健 (著)

人は誰にも好かれたいと思い、嫌われることは怖いことだと考えがちです。本書は、それは間違ったアプローチであり、結果的には自分で自分を苦しめることとなることに気付かせてくれます。自分がやるべきこと、できることをやった上で、他者がそれにどう反応するかはコントロールできないことであり、仮に嫌われたとしてもそれは「あなたの問題ではなく他人の問題である」と本書は説いています。対人関係の悩みは誰もが抱えるものであり、人々がSNS上で他人からの「いいね」を求める現代だからこそ、しっかり受け止めたいアドラーの思想です。


15.『幸せになる勇気――自己啓発の源流「アドラー」の教えII』
岸見一郎、古賀史健 (著)

『嫌われる勇気』の続編として出版された本作のテーマは「どうすれば人は幸せになれるのか」です。なぜ自分には愛や尊敬が与えられないのかを悩むことではなく、自ら人を愛しようとし、尊敬しようとすることの大切さが書かれています。自分の不幸を他人のせいだと感じがちな人にオススメしたい一冊です。


16.『スタンフォードの自分を変える教室』
ケリー・マクゴニガル(著)

マクゴニガルがスタンフォード大学で教えていた講義を元にした本作は、「意志」の力に着目しています。「自制心」を抽象的なものではなく、筋肉のようなものとして捉え、睡眠不足やストレスなど日常生活にある様々な要素がいかにそれに影響しているかをわかりやすく説明しています。「すぐに得られる喜び」と「長期的な目標」の間で葛藤する全ての人間に読んでいただきたい一冊です。


17.『やってのける~意志力を使わずに自分を動かす~』
ハイディ・グラント・ハルバーソン (著)、児島修 (翻訳)

モチベイションと目標達成の分野の第一人者である著者が、いかに自分のモチベイションを上げ、行動を起こし、目標を達成するかについての戦略を提示した著書です。そもそも目標をどうやって設定すれば自分のモチベイションとパフォーマンスが上がるか?など、自分の個性に合わせて効果的な行動の仕方が科学的な裏付けを元に紹介されています。


18.エピローグ

私はビジネスで東京を訪れる際、気晴らしのための散歩で必ず立ち寄る公園があります。そこではいつもおかしな光景を目にします。

幼い息子にテニスを教えようとしている父親がいて、技術や上達する方法を上手に伝える方法が分からないためか、どうしていいか分からない息子は生半可な練習を続けているのです。自分に対するイライラと、子供に対するイライラが溜まって行って、最終的に父親は「なんでもっと頑張れないんだ!」と息子に怒鳴りつけるのがオチです。息子は涙ぐみながらも練習を続けるのですが、彼がテニス嫌いになるのは時間の問題でしょう。父親は「根性論」で自分のみならず、息子をも不幸にしているのです。

その父親のテニスのレヴェルの問題はさておき、そういうフラストレイションを抱えている方にこそ、今回紹介した書籍を読んでいただきたいのです。仕事の面でもプライヴェートの面でも、人間関係が良くなるだけでなく、きっと自分の人生もより楽しくなるはずです。

次回は、脳科学や読書に関するビジネス本を取り上げたいと思います。お楽しみに!


GEAR & BUSINESS #014

メンタルを鍛えるための具体的な手法を紹介している16冊 - 一流のビジネスパーソンになるための書籍 (3)


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