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“父親"を指す英単語と#MeToo時代に考える“オトウサン"の存在
  - Eテレ『世界へ発信!SNS英語術』#FathersDay (2018/06/21放送) | LANGUAGE & EDUCATION #005
Photo: ©Marika Rinno
2021/07/26 #005

“父親"を指す英単語と#MeToo時代に考える“オトウサン"の存在
- Eテレ『世界へ発信!SNS英語術』#FathersDay (2018/06/21放送)

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KAZOO
翻訳家 / 通訳 / TVコメンテイター

目次


1.楽屋オチ

この日は#FathersDay、父の日に関するツイートを取り上げました。

今回の出演者の中で、唯一父親であるヒデさんは、番組の冒頭で息子が作ってくれた謎の物体について、微笑ましいエピソードを紹介してくれました。

番組内でも軽く触れましたが、アメリカでは、父の日に父親がもらうプレゼントは、仕事に関連するツールが多いものです。電動工具や草刈機であったり、ネクタイであったり、バーベキューのグリルであったり。基本的に、父親により頑張ってもらうためのものばかりです。

そのため、解説者の佐々木俊尚さんも言っていましたが、#FathersDayのツイートは、そう言った商品や、そうした商品を売るための「父の日キャンペーン」に関するものが多く、今回紹介するツイートを探す際に、それ以外のツイートを見つけるのにスタッフは苦労したようです。ツイート文自体は、心温まる良いことを言っているのに、よく見るとお店やブランドのオフィシャル・アカウントで、販促目的だったというケースも少なくありませんでした。


2.「父」にまつわる英語

日本語では父親を意味する言葉には、「お父様」「お父さん」「パパ」「オヤジ」「父上」などいくつもありますが、英語でも “father"や“dad"以外にも“daddy" “pop"あるいは“pops"、更に“old man"という呼び方もあります。

また、番組でも紹介したように、父親にまつわる英語の表現や慣用句もいっぱいあります。父親代わり、父親のような存在を意味する“father figure"という言葉もあれば、若い女性にお金を貢ぐ中高年の男性を指す“sugar daddy"、 養育費を払わないでのらくらしている父親のことを意味する“deadbeat dad"といった表現もあります。因みに、故ジョージ・マイケルが1987年に発表した初のソロ・アルバム『フェイス』に収録されている『ファザー・フィギュア』は名曲です。是非一度聴いてみて下さい。

これ以外にも、「この親にしてこの子あり」を意味する“like father, like son"もよく使われる表現です。是枝裕和監督の2013年の作品『そして父になる』の英語のタイトルも『Like Father, Like Son』でした。

バラク・オバマ氏の大統領としての評価は、賛否両論ありますが、彼の功績の一つは、アメリカ国民に向けて“良き父親像"を提示できたことではないでしょうか。歴代の大統領の多くは、政治に没頭するあまり、子供にとっては“不在の父親"になることが多く、父親らしい姿を見せることはほとんどありませんでした。オバマ氏は自身がシングル・マザーに育てられたという経験から、同じ思いを子供には絶対させたくなかったそうです。

皮肉なことに、地元イリノイ州とワシントンDCを行き来していた上院議員時代よりも、大統領に就任したことで、家族揃ってホワイトハウスに住むことができるようになり、娘のマリアとサーシャと過ごす時間も増えたと、本人は話しています。平日は家族4人揃って夕食を食べたり、朝食もなるべく娘たちと食べるようにするといった、オバマ氏の「父親らしい」行為や立ち振る舞いは、度々メディアにも取り上げられていました。オバマ氏にとっては、大統領としての責任よりも父親としての責任が大きかったのかもしれません。


3.今週の衣裳

ネクタイの基本的な柄について

僕に関しては、インタヴューの時を除いて、スタジオでは基本的にはネクタイをしない演出となっています。しかし、今日は父の日ということで、よくプレゼントになるシルク・ネクタイについて話したいと思います。

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まずは、ソリッドタイ、つまり無地のネクタイについてです。最初の一本としてはネイヴィー系がいいと思います。ネイヴィーのスーツにもグレイ系のスーツにも合わせやすいからです。深みのある濃い目の色がオススメです。明るい色はパーティーなどには向いていますが、ビジネスには不向きです。光沢感も色々なタイプのものがありますが、平均的なものが良いでしょう。

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次にオススメなのがドット柄です。一見派手で目立つような印象を受けるかもしれませんが、基本的にメンズウェアにおいてドット柄が施されるのはネクタイのみなので、ネクタイとシャツやスーツの柄が被る恐れがなく、様々なスーツやシャツに合わせやすいのがポイントです。大きいドット柄のものも存在しますが、ビジネスには細かい柄がベストです。

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3本目には、ストライプのレジメンタルタイが良いでしょう。“レジメンタル"とは英語で“連隊に属する"という意味です。もともとはイギリス発祥のデザイン・スタイルです。ストライプの方向には違いがあり、正面から見て左下がりのものは英国式、右下がりのものは米国式です。因みに、後者の米国式のレジメンタルタイは、「ブルックス・ブラザーズ」が提案したものとされています。ビジネスにもフォーマルにもとてもよく似合います。

他にも幾何学模様が施されたフーラード地のもの、松毬模様が施されたペイズリー柄のものなど、様々なタイプがあります。また、コットンで出来たニットタイなど、生地の違いもあります。こちらについてはまた別の機会にご紹介したいと思います。

『ユニバーサル・ランゲージ』の白いボタンダウン・シャツ

『ユニバーサル・ランゲージ』の白いボタンダウン・シャツ
番組はブルー・バックの前で撮影するため、厳しい衣裳チェックがあるので、白いボタンダウンのシャツを色んなお店で作らせていただきました。その中でも、『ユニバーサル・ランゲージ』のこのシャツは一番着心地が良く、お気に入りです。

形態安定加工が施されていないため、洗濯後はアイロンをかける必要がありますが、肌触りは、とても柔らかく、快適です。

『ユニバーサル・ランゲージ』のバーズアイ・スーツ

『ユニバーサル・ランゲージ』のバーズアイ・スーツ
このスーツは『ユニバーサル・ランゲージ渋谷店』でオーダーしたものです。

今までのローエスト・プライスの生地ではなく、今回は『レダ』というイタリアの老舗スーツ生地メーカーのものでオーダーしました。『レダ』の生地は高品質でありながら値段はとてもリーズナブルです。

生地の柄は「バーズアイ」と呼ばれる、細かいドット柄が施されたものを選びました。針でひっかいたように見えるデザインから、「ピンチェック」とも呼ばれています。スーツといえば無地やストライプのものが定番ですが、距離や光の具合によって雰囲気が変わって見える「バーズアイ」もオススメです。

ユニバーサル・ランゲージは8種類のモデルからスーツを選ぶことができます。中でもイタリア系のスタイルを一番得意としているので、今回は肩パッドのない、なで肩が特徴の「ナポリ」と言うスタイルにして見ました。これまでのスーツに比べてソフトな印象に仕上がり、とても気に入っています。

今回のスーツのポイントは段返り三つボタンにしたことです。スーツは二つボタンが主流ですが、3つ目のボタンをラペルと呼ばれる襟の折り返しの部分の裏側に隠れるように付けることを段返りと言います。そうすることでVゾーンが浅くなりますが、ネクタイはしていなくても、胸元が締まり、全体的のバランスも良くなります。

出来上がったスーツは、肌触りも着心地もこれまでのスーツとは明らかに違うものでした。値段が高いものは、品質も良いのは当たり前ですが、やはりローエスト・プライスのものからスタートし、そこから少しずつレベルを上げてきたからこそ、その差を肌で感じることができたのだと思います。

『グローバル・スタイル』の黒いスーツのズボン

『グローバル・スタイル』の黒いスーツのズボン
これらの商品は、以前紹介したのでLANGUAGE & EDUCATION #003を参照してください。

『イセタンメンズ』の黒い靴下

伊勢丹メンズ館の地下1階のソックス売り場で購入した、伊勢丹オリジナルの黒のドレス・ソックスです。ソックス売り場にはレギュラーサイズの物がメインなのですが、27cm~29cmのコーナーも少しだけあります。

『リーガル』のウィング・チップ・シューズ

『リーガル』のウィング・チップ・シューズ
この商品は、以前紹介したのでLANGUAGE & EDUCATION #003を参照してください。

『ゾフ』の黒いメガネ

『ゾフ』の黒いメガネ
これらの商品は、以前紹介したのでLANGUAGE & EDUCATION #003を参照してください。

4.エピローグ: #MeToo時代におけるオトウサンのあり方

現在アメリカでは、#MeTooムーヴメントが勢いを増し、「男の罪」「男のあり方」について、社会全体としてどうあるべきか向き合っているところです。そんな中で迎えた今年の「父の日」は、父親に感謝の意を表するだけでなく、父親たちが自らを顧み、子供に対してどのような父親でありたいのか、どのような見本になりたいのかを、改めて考える日でもあったのではないでしょうか。

また、アメリカでは、“自分の親の世代よりも、少しでも良い生活や人生を送ることができれば幸せ"という考え方があります。そのために親というものは様々なことを犠牲にし、子供のために尽くすべきものだとされています。そのため、多くの父親は、無理を強いられているところがあります。その結果、ストレスが溜まり、乱暴になることがあります。しかし、そのことを、頑張っている父親の行為なので、大目に見ているところもあるのかもしれません。

また、アメリカという国においては、今まで“より良い生活"とは、主に“物質的に良い"あるいは“金銭的に良い"という意味だということも忘れてはいけないでしょう。これからの時代は、アメリカにおいても“心"や“人間性"の面においての幸福が求められてくるのではないでしょうか。

僕は日本に引っ越して来てから、父の日を実際に父と過ごすことは一度もできていません。(因みに、僕は父親のことを“オトウサン"と呼んでいます。)

番組の後半では、先日六本木のリッツ・カールトンで行ったロン・ハワードのインタヴューが流れました。このホテルはとても快適で、とてもリラックスした気分にしてくれました。僕もいつかは、“オトウサン"と“オカアサン"に東京行きのファースト・クラスの切符を渡し、リッツ・カールトンに泊まらせてあげたいと思っています。


LANGUAGE & EDUCATION #005

“父親”を指す英単語と#MeToo時代に考える“オトウサン”の存在 - Eテレ『世界へ発信!SNS英語術』#FathersDay (2018/06/21放送)


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