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アポロ11号の月面着陸50周年記念 宇宙関連の英語表現
  - Eテレ『世界へ発信!SNS英語術』 #SpaceTravel (2019/07/26放送) | LANGUAGE & EDUCATION #028
Photo: ©RendezVous
2022/08/08 #028

アポロ11号の月面着陸50周年記念 宇宙関連の英語表現
- Eテレ『世界へ発信!SNS英語術』 #SpaceTravel (2019/07/26放送)

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KAZOO
翻訳家 / 通訳 / TVコメンテイター

目次


1.7月26日放送分のテーマ、#SpaceTravelについて

今回のテーマは#SpaceTravelでした。“Space"は「大気圏外の空間」つまり「宇宙」を指す言葉です。1969年7月にアポロ11号が人類で初めて月面着陸に成功したことの50周年を記念して、今回は宇宙探検や宇宙旅行についての投稿を紹介しました。

まずは民間企業の研究開発がどんどん進むことで、一般人が宇宙旅行に行くことがますます現実味を帯びていることを紹介しました。「ヴァージン・レコード」の創設者であるリチャード・ブロンソンの「ヴァージン・ギャラクティック」は、2018年末に、パイロットによる宇宙船の試験飛行で宇宙空間へ到達することに成功しました。2019年2月にはパイロット以外の人を乗せて宇宙空間に到達しました。宇宙旅行のサーヴィス開始に向けて現在600人を超える予約者がいます。「Amazon.com」のCEOであるジェフ・ベゾスの「ブルー・オリジン」は、2015年に再使用型のロケット「ニューシェパード」による無人での宇宙空間への到達に成功させ、2019年には新しい月面着陸船を計画していることを発表しました。電気自動車メイカー「テスラ」のCEOであるイーロン・マスクの「Space X」は、次世代宇宙船に使用される推進システムの開発の一環として、小型デモ・テスト機「StarHopper」の試験運転を行なっています。

この番組の英語講師である鳥飼久美子先生は、アポロ11号の月面着陸の中継の同時通訳者を担当したことでも知られています。鳥飼先生は、ニール・アームストロングに続いて2人目に月面に降り立って歩行を行なったバズ・オルドリンと、その時1人だけ司令船に残り、これまでも注目を浴びることを避けてきたパイロットのマイケル・コリンズについても紹介してくれました。

アメリカの航空宇宙局「NASA」公認の「宇宙旅行に行った気になれる」アプリ「NASAセルフィー」についても紹介しました。自分の顔写真を宇宙服のヘルメットの中に表示させ、宇宙飛行士になった気分で銀河系や星雲など、様々なバックグラウンドを選ぶことができます。解説者の古田大輔さんが言ったように、現在では宇宙旅行は訓練も含めて1人3,000万円弱かかるという観測が出ています。現時点ではこう言ったアプリやVRを駆使した楽しみ方が現実的なのでしょう。


2.宇宙関連の英語の慣用句

英語には、実に多くの宇宙に関連した慣用句が存在しています。月や星空には、この世のものではない、人間の理解を超えたロマンチックな力があるからでしょう。

over the moon
直訳すると「月を越えている」ですが、(月の向こうにいってしまう位)「大喜びしている」「嬉しくてたまらない」という意味の表現です。

love someone to the moon and back
「~を心から愛している」という意味です。“to the moon and back"は「月へ行って帰ってくる」という意味で、愛情の力と度合いを距離に例えた慣用句です。

written in the stars
占星術の観点から「星空に書かれている」、つまり「星の定めによって運命付けられている」という意味です。

star-crossed lovers
シェークスピアはロメオとジュリエットを“star-crossed lovers"、つまり、「薄幸な恋人たち」と表現しました。占星術の観点から、不幸な星めぐりで、恋愛関係が悲劇に終わるとされる関係を指します。

月や星にロマンチックな感情や運命を見出すだけでなく、人の可能性や能力を例える慣用句もいくつもあります。

it’s not rocket science あるいはyou don’t need to be a rocket scientist
ロケット科学者、つまり、とても頭脳明晰な人でなくても、簡単に理解できるものやことをユーモラスに例えた慣用句です。

failure to launch
直訳すると「打ち上げに失敗する」ですが、転じて、何らかの理由で自立できず、親と暮らし、大人になりきれていないアダルト・チルドレンのことを例えた表現です。

to aim/reach/shoot for the stars
「星空を目指す」、転じて 「高望みをする」という意味の表現です。

to hitch your wagon to a star
「星に車をつなげる」、転じて「大きな野心を持つ」という意味の慣用句です。しかし、近年は成功している人に近づいて、あるいは利用して恩恵を受けようとすることを指すことが多くなりました。

また、全く違う価値観や考え方を持っている人を表す時に使う表現もあります。

on/from/living on another planet
「他の惑星にいる」「他の惑星の出身」「他の惑星に暮らしている」、つまり、「宇宙人である」ということです。価値観が全然違ったり、あるいは周囲のことに無関心で現実離れしたアイディアを持った人のことを言う表現です。

men are from Mars, women are from Venus
アメリカの心理学博士ジョン・グレイの1992年の代表作『ベスト・パートナーになるために』は世界的ベストセラーとなり、「男は火星から、女は金星からやってきた」というキャッチフレーズは広く浸透しました。

come back down to Earth
直訳すると「地球に戻る」ですが、あることに夢中になったり興奮した後に、現実に戻り「我に返る」ことを意味する慣用句です。


3.アポロ計画で使用された名品

アポロ11号のニール・アームストロングが撮影したこちらの写真には、スイスの高級時計メイカーの「オメガ」の『スピードマスター』を着用したバズ・オルドリンが写っています。次は、アポロ計画で使用された時計、ケース、そしてカメラを紹介します。

「オメガ」の『スピードマスター』

60年代半ば、「オメガ」の『スピードマスター』は、過酷な環境下での試験を乗り越えてNASA公認のクロノグラフとなりました。月着陸船の電子タイマーの機能不良により、ニール・アームストロングは自身の『スピードマスター』をバックアップとして月着陸船の中に残したため、初めて月面に降り立った腕時計はバズ・オルドリンが装着していた『スピードマスター』だったそうです。それ以降、『スピードマスター』の愛称は“ムーンウォッチ"となりました。2019年、オメガはアポロ11号の50周年を記念して、新作モデルを1969年にあやかって限定6,969本製作しました。

「ゼロハリバートン」の『テクニカル・ケース』

「ゼロハリバートン」、通称“ゼロハリ"は、アルミニウム素材のアタッシェ・ケースで知られるアメリカの鞄メイカーです。

アポロ11号の宇宙飛行士たちは月の石を地球に持ち帰るために使用したのが、頑丈で気密のゼロハリバートンのケースです。アポロ11号の50周年を記念して、ミディアムとスモール・サイズのテクニカル・ケースを限定50個ずつ作りました。

「ハッセルブラッド」の『500 EL』

アポロ計画の最初の有人宇宙飛行から最後のアポロ17号まで、記録用のカメラとして使用されたのが、軽量化するために余計な部品を取り除いて改造されたドイツ製の「ハッセルブラッド」の中判カメラ『500 EL』でした。アポロ11号の月面着陸を捉えたのも全てハッセルブラッドです。因みに、現在も月面には12台が残っているそうです。(月から離陸する際に、月着陸船をできるだけ軽くするために余計なものを月面に残しました。)

「ニコン」の『ニコン フォトミックFTN』

60年代では主に「ハッセルブラッド」の70mmのカメラを使用していたNASAですが、より携帯性のあるカメラが必要とされ、1971年のアポロ15号では『ニコンF』を改造した『ニコン フォトミックFTN』が搭載されました。その以降の有人宇宙飛行のミッションには「ニコン」のカメラが搭載されるようになりました。2017年には国際宇宙ステーションに『ニコンD5』10台が届けられ、ニコンのレンズの広いラインナップも装備されているそうです。

こちらはニコンのカメラを使って宇宙から撮影された写真を使って作られたタイム・ラプス動画です:


4.宇宙旅行は人類にどのような影響をもたらすか

先日、1994年に公開されたディズニーの長編アニメイション映画『ライオン・キング』を久々に観る機会がありました。ある場面で、動物の王国の王であるライオンのムファサは、夜空を見上げながら、息子のシンバに、夜空に輝く星は先祖たちであり、見守ってくれていると説明します。

私たち人間の先祖も、かつて夜空を見上げ、同じように考えたのでしょう。科学者の観測によって天文学が発達するまで、人々は空は地球に覆いかぶさったカーテンのようなものであり、星はそこに固定された魔法の宝石のようなものだと考えられていました。17世紀以降に地球を宇宙の中心とする「天動説」ではなく太陽を中心とする「地動説」が広く受け入れられるようになり、20世紀後半には人間が宇宙飛行と月面着陸に初めて成功しました。こうして、ここ数百年、特にここ50年で宇宙は格段に身近なものとなりました。とはいえ、いってみれば地球上のほとんどの人間は大気圏外の宇宙空間を経験したことがなく、宇宙と言われても実感がないでしょう。アポロ11号の月面着陸は陰謀であったとする説を未だに信じるアメリカ人も少なくありません。

宇宙飛行が始まってから60年弱の間、宇宙空間を経験した宇宙飛行士の数は600人に満たないです。さらに、国際宇宙ステーション(ISS)やほとんどの衛星が位置する「地球低軌道」より先の宇宙空間を経験した宇宙飛行士は24人、月面歩行を行なったのはたった12人です。彼らはこぞって、宇宙空間から地球を眺めたことによって地球に対する見方が変わったと言います。自然の威厳を感じたり、地球のちっぽけさに驚いたり、人類全体との繋がりを感じたと言った宇宙飛行士もいます。彼らはある種の“スピリチュアル"な体験をしているのです。

現在「ヴァージン・ギャラクティック」では宇宙旅行のサーヴィス開始に向けて600人くらいの予約者がいるのも感慨深いことです。しかし、もし一般市民でも手が届くくらい宇宙旅行がお手頃になる日がいつか来れば、全人類規模で同じような“悟り"が起きる可能性があります。それまで自分さえよければいいというわがままな生き方や、目先だけのことに追われる生き方を貫いて来た人間の意識は改革され、国境を超えた人間同士の連帯感や一体感も生まれるかもしれません。また、環境問題や社会問題に対する意識や、取り組むモチベイションもそれを機に変わる可能性があるのではないでしょうか。宇宙旅行には、そういった夢もあるのです。

あるいは、とある民間企業のロゴが大きく入った宇宙船の窓から、肉眼ではなく、最新型のスマフォ越しで地球を眺めたり、地球を背景にした自撮り写真に#SpaceTravelをつけ、SNSに投稿するだけで終わってしまうのかもしれません。我に返り、翌日にはいつものように満員電車で通勤しながら、SNSに投稿した写真の「いいね」の数を確認するのがオチでしょう。


5.今回の衣裳について

「ル・カノン」の茶色いボタンダウン・シャツ

「ル・カノン」の茶色いボタンダウン・シャツ
こちらは5月ごろに西麻布のオーダー・シャツの老舗「ル・カノン」で作ったコゲ茶色のボタン・ダウン・シャツです。高品質なインポート生地の綿は、まるでシルクのような光沢感と質感があり、着心地もとてもサイコーです。

特にこだわった点は、襟です。ネクタイをしない前提だったので、自然な襟の開きを持たせるために、襟を高めに設定して少し硬めの芯を入れた仕上がりにしてもらい、上から2つ目のボタンを少しだけ下げてもらいました。また、店主の守田さんのご提案でボタンを黒蝶貝にすることにしました。

「ブルックス・ブラザーズ」の黄色のチノパン

「ブルックス・ブラザーズ」の黄色のチノパン
この商品は、以前紹介したのでLANGUAGE & EDUCATION #017 を参照してください。

「イセタンメンズ」の茶色のメッシュのベルト

「イセタンメンズ」の茶色のメッシュのベルト
この商品は、以前紹介したのでFASHION & SHOPPING #007を参照してください。

「タビオ」のベイジュのソックス

「タビオ」のベイジュのソックス
この商品は、以前紹介したのでLANGUAGE & EDUCATION #017を参照してください。

「ゾフ」茶色いメガネ

「ゾフ」茶色いメガネ
この商品は、以前紹介したのでFASHION & SHOPPING #007を参照してください。

LANGUAGE & EDUCATION #028

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