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写真をめぐる冒険 (1) 日本の3大カメラ・メイカー ニコン/キヤノン/ソニー
  - Z7/Z6/EOS R/EOS-1D X/α9/α7 III | SPORTS & CULTURE #011
2023/08/28 #011

写真をめぐる冒険 (1) 日本の3大カメラ・メイカー ニコン/キヤノン/ソニー
- Z7/Z6/EOS R/EOS-1D X/α9/α7 III

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Mickey K.
風景写真家(公益社団法人・日本写真家協会所属)

目次


1.写真都市・東京の魅力

東京は、世界で最も写真家に取って魅力のある街です。大小様々な写真の美術館やギャラリーがあり、機材を入手するにも大型の量販店から、マニアックな専門店まで、様々なショップがあります。

日本には、古くからキヤノンとニコン、オリンパス、ペンタックスといった世界的なカメラ・メイカーがあり、近年ではソニーやパナソニック、富士フイルムなどのメイカーも素晴らしいカメラを製作しています。

タムロン、シグマ、トキナなどの交換レンズ・メイカーの個性的な商品を量販店でも手軽に入手でき、カメラ・ファンにとっては東京という街は、まさに天国といえます。

訪日外国人の多くも、訪日後すぐに東京で日本製のカメラやレンズを購入しているようで、真新しいカメラを大事そうに抱えているシーンをよく見かけます。

また、デザイン性では、海外の製品には劣るものの品質と価格面では、優れたカメラ用品メイカーもあります。

三脚では、スリック、ベルボン。フィルターでは、ケンコー、マルミ。照明ではコメット、LPL。カメラケースのハクバ、エツミなどが代表的なメイカーです。

日本人のカメラマンはもちろんのこと、海外のカメラマンにも是非一度、日本の製品を使ってもらいたいものです。


2.ニコン

フィルム・カメラ時代から「ニコン」のカメラを愛用しているカメラマンは、実に多いです。一貫してカメラとレンズの結合部分である“マウント"の規格を統一してきたことなど、ユーザー思いであることがブランドへの信頼となっていることがその理由の一つでしょう。また、暗い部分も美しく再現できる色合いの深さもニコンのカメラ・レンズの一つの特徴です。そのため、風景写真が得意とされています。1971年に打ち上げられたアポロ宇宙船に、記録用のカメラとして採用されたことでも分かるように、耐久性にも優れています。ありのままの色を忠実に再現した「見た目に近い写真」が撮れる点でも信頼が高いメイカーです。

注目のニコンのフルサイズ・ミラーレス一眼

Z7

「ニコン」の新しいフラッグシップ・モデルとして登場した高画素機『Z7』は、超高性能モデルである『D850』のミラーレス版とも言えるでしょう。(『D850』に比べてよりコンパクトで、より軽量になっています。)ボディ内手ブレ補正が搭載されているのもありがたいポイントです。

Z6

『Z7』の弟分として販売された『Z6』は、『Z7』に比べて画素数を抑えたモデルで、それ以外のスペックは、ほとんど同じレヴェルになっています。なにより、『Z7』より買い求めやすい価格がポイントです。

注目のニコンのデジタル一眼レフ

D850

「ニコン」の最新で最高の技術を搭載した、一眼レフの一つの完成形と言っても良いカメラではないでしょうか。プロからハイ・アマチュアまでが納得する名機です。

注目のニコンのコンパクト/エントリー・モデル

COOLPIX P1000

恐るべし24-3000mmという超望遠のズーム・レンズを搭載した一体型カメラです。1/2.3型というコンパクトなセンサーの割には画質がとても綺麗です。“コンパクト"と呼ぶには少し違和感を感じるほどゴツく、重いです。

D3400

スマホからステップ・アップしたいと考えている方にオススメなエントリー・レヴェルのモデルです。綺麗な写真を撮るために必要な最低限の機能以外は、搭載されておらず、ユーザーが細かい設定をすることを想定していません。また、スマホと同様、搭載されているソフトを使ってカメラ内で画像をリタッチし、ブルートゥースでデータをスマホに転送できます。

注目のニコンのNIKKOR レンズ

Zマウント
『Z7』と『Z6』は、内径55mmという大口径の新マウントを採用しています。“フランジバック"(レンズの端からセンサーまでの距離)も既存のメイカーの中では一番短く、それによって今後のレンズ設計の自由度が上がると「ニコン」はアピールしています。また、別売りの『マウントアダプターFTZ』を使用すれば、Fマウントのレンズを取り付けることも可能です(電子制御式のみ)。

Fマウント
60年近く採用されてきた「ニコン」の象徴とも言えるレンズ規格です。一貫してこのFマウントを採用し続けることにより、機種変更しても様々なレンズを装着することが可能となり、ユーザーは「ニコン」に強い信頼を持つようになりました。


3.キヤノン

「キヤノン」はプリンターを製造しているメイカーとしても有名ですが、そのため、出力した時に鮮やかに写る色合いが特徴的です。また、風景を得意とする「ニコン」に対して、「キヤノン」は人物撮影が得意とされています。結婚式場やイヴェント会場、スポーツの試合で見かけるカメラマンは、ほとんどと言っていいほどキヤノンを使用しています。望遠レンズの鏡筒が白いデザインに魅了される方も多いのではないでしょうか。

注目のキヤノンのフルサイズ・ミラーレス一眼

EOS R

『EOS』のデジタル一眼のユーザーが待ちに待っていた、「キヤノン」が誇る高い機能性をより軽量なボディに収めたミラーレス一眼です。自由な方向に動かせるバリアングル式のモニターが付いているのは嬉しいですが、ボディ内手ブレ補正が搭載されていないことが残念です。

注目のキヤノンのデジタル一眼レフ

EOS-1D X Mark II

「キヤノン」のデジタル一眼レフのフラッグシップ・モデルです。スポーツやイヴェントなど、動きの激しいシーンを撮影するプロにとっては最適なカメラでしょう。

注目のキヤノンのコンパクト/エントリー・モデル

EOS Kiss M

スマホの内臓のカメラの限界を感じ始め、写真を本気で学びたいと思っているユーザーに向けたミッド・レヴェルの機種です。シンプルなインターフェイスとオート・モードはとても使いやすくなっています。

EOS M100

スマホ・ユーザーをターゲットとしたエントリー・レヴェルの機種です。「キヤノン」のレンズ交換可能モデルの中ではもっともコンパクトで、軽量です。液晶モニターは180度回転できるチルト式なので、“自撮り"をしたい人にもオススメです。

注目のキヤノンのレンズ

RFマウント
『EOS R』は、RFマウントという新マウントを採用しています。内径はEFマウントと同じ54mm、フランジバックはより短い20mm(Eマウントは44mm)なので、今後の発展性が楽しみです。

EFマウント
キヤノンが1987年より採用している、内径54mmという大口径のマウントです。


4.ソニー

最新の機能と高い技術性を求めるなら、「ソニー」のカメラも魅力的です。カメラ・ブランド『α』は、世界初のオート・フォーカス技術を搭載したことでその後のカメラ業界を大きく変えたと言われています。コンパクトさ、軽さ、動作のスピードについては、右に出るものはいません。

注目のソニーのフルサイズ・ミラーレス一眼

α9

「ソニー」の最新技術で作られた新型センサーを搭載し、無音で最高20コマ/秒の連写性能を実現した『α9』は、スポーツ撮影や動物撮影を想定した高機能モデルです。同じ用途を想定したデジタル一眼に比べると、とても小さくて軽いことがメリットとなります。ただ、大きなレンズを取り付けたときはかなり持ちにくくなります(別売りのバッテリー・グリップは必要不可欠です)。

α7 III

スピード、AFの精度、広いダイナミック・レンジ(センサーが再現できる明るさ)、多彩な動画機能など、「ソニー」の最高の技術をバランス良く搭載した『α7 III』は、ミラーレス一眼の新基準と言って良いでしょう。

注目のソニーのコンパクト/エントリー・モデル

α6300

一般的な一眼レフに劣らないオート・フォーカスの速度と精度、4K動画記録の性能が素晴らしい小型・軽量モデルです。液晶モニターはタッチスクリーンではないことは、少し不便かもしれません。

RX100M6

ポケットに収まるほど小型でありながらも、24-200mmというズーム・レンズを搭載したモデルです(レンズが少し暗いのがデメリットです)。旅行などに最適でしょう。ワンプッシュでアクセスできる収納式電子ビューファインダーもポイントです。

注目のソニーのレンズ

Eマウント
「ソニー」のミラーレス一眼に採用されている内径46.1mm、フランジバック18mmのマウント規格です。

Aマウント
「コニカミノルタ」時代のカメラに採用されていたマウント規格を継承した、「ソニー」のデジタル一眼に採用されているマウント規格です。フランジバックは44.5mmです。


5.ミラーレス一眼レフの闘い

スマホの内臓カメラがどんどん進化するにつれて、それまで盛んだった“デジカメ"市場の販売台数が徐々に低下してきました。対応策として、ここ10年間で各メイカーがどんどん開発してきたのが、ミラーレス一眼です。

そもそも“ミラーレス一眼レフ"とは、一眼レフのボディに取り込んだ光を“ファインダー"と呼ばれる、本体の背面上部にある小さな覗き窓に写し出す“ミラー"(反射板)がないカメラのことです。(そういう意味では、使い捨てカメラも、デジカメも、スマホに内蔵されているカメラも“ミラーレス"ですが、基本的にこの言葉は“ミラーレス一眼レフ"を指します。)

ミラーがないことによって、ボディを小型化し、軽量化が可能となりました。そしてファインダーの代わりに、取り込まれた光は映像に変換され、本体背部についた液晶モニターに写し出されます。(最近では電子ビューファインダーがついている機種も多いです。電子ビューファインダーとは、ミラーレス一眼レフの本体の背面上部にある覗き窓のことです。その覗き窓の中に小型の液晶があり、背部の液晶モニターと同じ映像が写し出されます。)

こうした“ミラーレス一眼レフ"は、大きく分けて2つのクラスに分けられるようになりました。ひとつは、スマホに搭載されたカメラに限界を感じ始めたユーザーにも強くアピールする、いわゆる“エントリー・モデル"です。このクラスのカメラは特に、ファッション感覚でカメラを楽しみたい女性や、家族写真をどんどん撮りたい小さい子供のいるお母さんとお父さんたちの間で人気となります。

もう1つのクラスは、“ハイエンド・モデル"です。これまでも一眼レフを使ってきたのだけれども、普段使いのためにより持ち運びやすいカメラ、あるいはバックアップとしてのカメラが欲しいプロの写真家やハイ・アマチュアに向けたクラスです。写真に興味を持っているが、プロ仕様の一眼レフにはなかなか手が出せなかった人にもアピールします。

特にハイエンド・モデルの市場は、技術の進歩によってここ数年で広がり、いくつものメイカーの新機種発表で一気に競争が激化してきました。

2017年春には、以前からミラーレス市場ではナンバー・ワンであった「ソニー」が新型センサーを搭載した『α9』を発売しました。それに対抗するかのように2018年秋、「ニコン」は『Z7』(本体のみで440,000円前後)と『Z6』(本体のみで270,000前後)を発売しました。更に「キヤノン」も、同社のミラーレスとしては初めてフルサイズ型のイメージ・センサーを搭載した『EOS R』(237,500円)を発表しました。どのカメラもそのメイカーの最高の技術が小型軽量のボディに詰め込まれており、どのメイカーのカメラを買おうか悩んでいる人も多いことでしょう。

特に「ニコン」と「キヤノン」の2社は、今後の発展性も見据えて、この新しい“ミラーレス一眼レフ"のための新しいレンズのマウント規格を採用しています。つまり、ユーザーからすると、新しくレンズを買い揃えなくてはならないということになります。(レンズに搭載されている技術は、もちろん進化しています。)また、今年発表されたばかりなので、それぞれのレンズの種類はまだ少ない状況です。2019年は、どのようなレンズが登場し、この3社の勝負の行方が気になるところです。

「オリンパス」「パナソニック」「ペンタックス」「富士フイルム」などもそれぞれ“ミラーレス一眼レフ"の新機種を次々と発表しています。(これらのメイカーについては、次回細かく紹介します。)新しくカメラを始めたいと思っている人は圧倒されるほど、日本には実に高品質なカメラとレンズが多く存在しているのです。

iPhoneの登場とスマホの発達により、我々の生活は大きく変わりました。日本における歴史は、2008年7月11日にiPhone 3Gが販売されたことが始まりであり、2018年でちょうど10年という節目を迎えました。そんなころに“ミラーレス一眼レフの闘い"がこのように激化することには、とても大きな意味があるのではないでしょうか。


SPORTS & CULTURE #011

写真をめぐる冒険 (1) 日本の3大カメラ・メイカー ニコン/キヤノン/ソニー


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