メイン・コンテンツ
検索フォーム
KAZOOの『SNS英語術』映画コーナー (3) 
 映画『ジュラシック・ワールド/炎の王国』の監督J・A・バヨナと出演俳優クリス・プラットとブライス・ダラス・ハワードへのインタヴューを振り返って
  - Eテレ『世界へ発信!SNS英語術』(2018/06/28放送) | CINEMA & THEATRE #007
©︎Marika Rinno
2021/08/30 #007

KAZOOの『SNS英語術』映画コーナー (3)
映画『ジュラシック・ワールド/炎の王国』の監督J・A・バヨナと出演俳優クリス・プラットとブライス・ダラス・ハワードへのインタヴューを振り返って
- Eテレ『世界へ発信!SNS英語術』(2018/06/28放送)

columnist image
KAZOO
翻訳家 / 通訳 / TVコメンテイター

目次


1.プロローグ:恐竜に憧れて

これまでも番組で、何度か来日した映画関係者にインタヴューをさせていただいていますが、今回プロデューサーから『ジュラシック・ワールド/炎の王国』の監督と俳優をインタヴューする話をいただいた時には、僕の子供の頃から夢が一つ叶う予感がしました。

アメリカの男の子、特に90年代に幼少期を過ごした少年であれば、一度は必ず“恐竜"にハマった経験があるのではないでしょうか。その最も大きな理由は、スティーブン・スピールバーグ監督の『ジュラシック・パーク』が1993年に公開されたからです。(原作はマイケル・クライトンの小説であり、クライトンはこの映画の脚本も手がけています。)『インディ・ジョーンズ』シリーズもそうでしたが、考古学や古生物学をアクション満載の職業として描いたことが、子供の目にはとても魅力的に映ったのかもしれません。

僕も『ジュラシック・パーク』を見て“恐竜"に強く惹かれるようになり、古生物学者になりたいとさえ、思いました。また、90年代には恐竜にまつわる様々な科学的発見が相次いで発表され、そのことも興味を後押ししました。
その中でも、特に衝撃的な発見がありました。20世紀終盤までに発掘された化石の研究結果によると、恐竜は、現生の動物でいえば爬虫類ではなく、鳥類が最も近い生物であるという発見でした。

そもそも“dinosaur"という言葉は“恐ろしいトカゲ"という意味なので、『ジュラシック・パーク』を含め、ポップ・カルチャーで描かれる“恐竜"は、基本的にダーク・グレイ色の爬虫類のような鱗に覆われています。だが最新の研究によると、映画の“悪役"とも言えるヴェロキラプトルなどは、羽毛恐竜であった可能性が高いというのです。しかも、恐竜の体の色は、もっとカラフルであったのではないかという説さえ謳われるようになりました。

また、『ジュラシック・パーク』というタイトルでありながら、実際に登場する恐竜のほとんどはジュラ紀(約1億9960万年前から約1億4550万年前)ではなく、白亜紀(約1億4500万年前から6600万年前)に生存した種であることを知った時は、ほんの一瞬でしたが、センセーショナルになりがちなハリウッドの罪と娯楽のための“超大作映画"の限界を感じたことを覚えています。

そんな僕も、中学生になると『インデペンデンス・デー』『アルマゲドン』などのハリウッドの宇宙映画の影響を受け、今度は宇宙飛行士になりたいと思うようになりました。それでも、その後も『ジュラシック・パーク』シリーズの作品は必ず公開週末に見に行くようにしてきましたが。


2.『ジュラシック・ワールド/炎の王国』について

『ジュラシック・パーク』の続編2作は、興行収入が低迷しました。しかし、2015年公開の『ジュラシック・ワールド』は、大ヒットとなりました。娯楽映画としては文句なしの作品ではあるものの、以前からのファンである僕からすると、オリジナルから魂を吸い取ったような、完全に形骸化されたような映画でした。(初めてこのシリーズに触れる世代が気に入り、“恐竜"に興味を持ってくれれば、それはそれでいいのですが。)

しかしで今作は、僕の期待を上回る出来でした。前半はハラハラドキドキするようなアドヴェンチャー、後半は息を呑むようなホラーという二部構成になっています。その中でも一番の見所は、クリス・プラットが演じる主人公とヴェロキラプトルのブルーの“絆"です。

本作を担当したJ・A・バヨナ監督は、スマトラ島沖地震による津波を描いた『インポッシブル』(2012年)やファンタジー映画の『怪物はささやく』(2016年)を手がけるなど、これまでも様々な形の“モンスター"を扱ってきました。こうした映画の中においても、家族の絆や人間の心を見事に描いてきた実績がありますが、この作品にもそのヒューマン・タッチが見事に光っています。ここ何作品かでは、間接的にしか触れていなかった生命倫理の問題も、今作では物語のメインテーマとなっています。

今までこのシリーズを観てきていて、一番納得がいかなかった事は、1作目であれだけの大事故が起きたのにも関わらず、このシリーズの登場人物はその後も、事故現場である島々に何度も再訪したがることです。前作の『ジュラシック・ワールド』に至っては、その同じ島に新たな恐竜のテーマパークを開いたという設定となっています。

その点、今作はそのパターンに終止符をつけたと言って良いようなストーリー展開になっていて、次回作が楽しみになりました。このシリーズに再び夢を持てるようにさせてくれたという意味では、僕の中ではオリジナルに続いて2番目に評価できる作品だと思っています。
ただ毎回、より強力な肉食恐竜を登場させるというお決まりの演出をどうにかしてくれれば嬉しい限りです。このシリーズの悪役は明らかに“人間"であり、いかにも分かりやすい“悪役"の恐竜を無理やり作り出す必要はないのではないでしょうか。


3.「ユニバーサル・ランゲージ」のボタンダウン・シャツ

以前#StarWarsDayの収録日にモワレが出るからとNGになったこのシャツは、以後ウォードローブにスタンドバイしていましたが、今回のインタヴューでようやく出番が回ってきました。

今年の春にユニバーサル・ランゲージでスーツを注文する際、スペシャル・キャンペーンとしてシャツを一枚無料で作ってくれるということで、英国を代表する高級生地のメーカーである「トーマス・メイソン」の生地を選んで、注文したシャツです。

トーマス・メイソンの生地は基本的にエジプト産の上質の綿で作られています。このシャツは、僕が今までオーダーした中では最も細かい糸を使った120番手で作られていて、独特の風合いがあります。

“番手"とは生地の元となる糸の太さを表す単位であり、数字が大きくなればなるほど糸が細いことになります。通常、ドレス・シャツの場合は50番手くらいのものから120番手までが主流とされていますが、200番手、300番手のものも存在します。細かい糸から作られた生地は薄く柔らかく、肌触りも良いですが、丁寧な扱いが必要となります。一方太い糸から作られた生地は丈夫で透けにくいですが、その分肌触りがイマイチになります。

このシャツはストライプ柄ですが、ストライプ柄といっても様々な形状のものが存在します。細い順に、針の頭を縦に並べたような“ピン・ストライプ"、鉛筆で線を引いたような“ペンシル・ストライプ"、チョーク(白墨)で書いたような“チョーク・ストライプ"があります。このシャツは、それより更に太い“ベンガル・ストライプ"というものが施されています。このような太いストライプをしたシャツは、80年代の“ウォール街"のバンカーや金融マンが着ているようなイメージがあります。

因みに、これ以上太いストライプのことを“ブロック・ストライプ"(オーニング・ストライプともいう)と言い、ビジネス向けではなくなるので、ストライプ柄のシャツを購入する際は注意が必要です。


4.「ブルックス・ブラザーズ」の黒いネクタイ

Image

「ブルックス・ブラザーズ」のプレッピー・カジュアル・ラインの『レッド・フリース』のスリム・タイです(税込¥9,720)。

細身のネクタイは、元々1950年代から60年代に主流になり、その後70年代と80年代では、徐々に太くなっていきました(これも“パワー・スーツ"や“パワー・ドレッシング"の流れの一環であります)。

2000年以降は60年代のニューヨークの広告業界を描いたテレヴィ・ドラマ『マッドメン』などの影響もあり、スリム・タイは再び支持されるようになってきているようです。

スーツと合わせる時のポイントは、ジャケットのラペルと同じくらいの幅を意識して全体のバランスを考えることです。


5.「鎌倉シャツ」のネクタイ

Image

昨年、渋谷マークシティ内にある鎌倉シャツで購入したネクタイです(税込¥5,400)。茶色をベースに、白い細かいドットが施されています。

鎌倉シャツのネクタイは、シャツと同様にロー・プライスなのにクオリティが高く、とてもコストパフォーマンスが高い商品です。


6.「グローバルスタイル」のグレイのスーツ

Image

これらの商品は、以前紹介したのでFASHION & SHOPPING #008を参照してください。


7.「麻布テーラー」の白とブルーのチェックのボタンダウン・シャツ

Image

これらの商品は、以前紹介したのでCINEMA & THEATRE #005を参照してください。


8.「999.9」の『M-27』

Image

これらの商品は、以前紹介したのでCINEMA & THEATRE #005を参照してください。


9.「ブルックス・ブラザーズ」のグレイのソックス

これらの商品は、以前紹介したのでFASHION & SHOPPING #008を参照してください。


10.「パラブーツ」のダブル・モンク・シューズ

Image

これらの商品は、以前紹介したのでFASHION & SHOPPING #008を参照してください。


11.エピローグ:主演の2人のインタヴューを経て

俳優のクリス・プラットはマーベル・スタジオの『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の大ヒットによって、すっかり“クリプラ"という二枚目のイメージが定着しました。しかし、僕には未だに、コメディ番組『パークス・アンド・レクリエーション』のぽっちゃりとしたお人好しな“おバカキャラ"のアンディ・ドゥワイヤーを演じた三枚目というイメージがあります。インタヴューでは、ひとつひとつの質問に対して、とても真剣に答えてくれました。とても純粋で堅実な印象を受けました。“男も惚れるような男"とは、彼のような人のことを言うのではないでしょうか。

ブライス・ダラス・ハワードは『ヴィレッジ』(2004年)や『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』(2011年)で知られる多才な女優です。先日、インタヴューしたロン・ハワード監督の娘でもあります。ロン・ハワード監督にもインタヴューをした事を伝えると、幼い頃に父に同行して日本を訪れた時に、黒澤明監督とジョージ・ルーカス監督が開いたディナーの際に、とても疲れていたので、会場の床で爆睡してしまったというエピソードを語ってくれました。現在は、監督として初めての長編映画を製作しているようです。

前作『ジュラシック・ワールド』では、ブライス・ダラス・ハワードが演じるテーマパークの運営責任者・クレアの服装が物議を醸しました。上昇志向が強いクレアは、基本的にいつもハイヒール姿で登場するわけなのですが、大事故が発生して恐竜から逃げて疾走するシーンでも、相変わらずハイヒールを履いていることに対して、疑問視する声が殺到しました。

僕が思うに、映画において登場人物の履物が実用的なのかどうかと言う議論は、焦点がずれているような気がします。確かにファッションでは“TPO"が大切ですが、映画の場合は、そのスタイルがそのキャラ"らしい"かどうかが問われるべきでしょう。権力欲の強いクレアが興味を持っているのは、“ジュラシック・ワールド"ではなく、“ビジネス・ワールド"であり、そんな彼女にとってハイヒールは一種の武器なのです(それも男性を振り向かせるための武器ではなく、自分の意志を貫くための武器)。また、男勝りの性格から、「男性にできて自分にできないことはない、しかも私の場合はハイヒール姿でそれができる」ということを確信していることが伺えるからです。

映画にとっての“リアル"とは何という問題は永遠のテーマであることは、確かなことです。


CINEMA & THEATRE #007

『ジュラシック・ワールド/炎の王国』監督J・A・バヨナと俳優クリス・プラットとブライス・ダラス・ハワードへのインタヴューを振り返って - Eテレ『世界へ発信!SNS英語術』(2018/06/28放送)


Page Top