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KAZOOの『SNS英語術』映画コーナー (5) 
 映画『インクレディブル・ファミリー』の監督、ブラッド・バードへのインタヴューを振り返って
  - Eテレ『世界へ発信!SNS英語術』(2018/07/26放送) | CINEMA & THEATRE #009
Photo: ©RendezVous
2021/09/27 #009

KAZOOの『SNS英語術』映画コーナー (5)
映画『インクレディブル・ファミリー』の監督、ブラッド・バードへのインタヴューを振り返って
- Eテレ『世界へ発信!SNS英語術』(2018/07/26放送)

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KAZOO
翻訳家 / 通訳 / TVコメンテイター

目次


1.プロローグ:楽屋オチ

今回のインタヴューは、六本木の東京ミッドタウンの上層階に入っているリッツ・カールトン東京ではなく、日比谷公園の向かい側に位置し、皇居も見えることのできる「ザ・ペニンシュラ東京」で行われました。ザ・ペニンシュラ東京は「香港&上海ホテルズ」が運営する、日本にある唯一のペニンシュラ・ホテルです。

この日は、とても暑く、僕はとてもよく汗をかくので、衣裳は、ガーメントバッグに入れて持参し、ホテルで着替えることにしました。

その点、ザ・ペニンシュラ東京は日比谷駅から地下道で直結しているので、真夏の太陽を浴びずに、辿り着けるという意味でもとても便利でした。(東京の地下街は出口の数が多すぎて迷路のようになっているので、真夏でなければ、むしろ地上に出た方が僕には分かりやすいのですが。)ザ・ペニンシュラ東京に行くにはA6とA7出口がありますが、A6はホテルの駐車場に出てしまうため、A7がオススメです。(ホテルというものはどこも、エントランスが個性的なので、正面入り口から入ることをオススメします。)

ザ・ペニンシュラ東京のレストルームは、天井がとても高く、広々としていて、大きな鏡が備え付けられているので、自宅で着替えるより格段に贅沢な気分になれました。今回の映画もスーパーヒーローの物語なだけに、こういう場所で着替えをする自分自身も、クラーク・ケント/スーパーマンになったようにさえ思えました。


2.『インクレディブル・ファミリー』について

西洋の“アニメイション"と日本の“アニメ"にはそれぞれ特徴的な違いがあります。

特にアメリカの場合は、アメコミのようになるべくリアルに描こうとする場合と、“コミカル"に特徴を思いっきり誇張して描く場合の2通りの手法があります。(体全体の比率がとんでもないことになっている『インクレディブル・ファミリー』の主人公は後者の一例です。)

一方で日本の場合は、赤ん坊のようにやや顔が大きく、大きな目に小さな鼻と口と、顔がかなりデフォルメされて描かれます。このようなスタイルの違いは他にも色々あります。

一番の違いは、想定されているオーディエンスなのではないでしょうか。アメリカのアニメイション作品は、主に子供が観るものというイメージがありますが、日本のアニメは、子供だけではなく大人も観るものとして、作る側も大人を想定しているケースが多いように思えます。 (日本人が大人になっても“アニメ"を愛しているのは、日本人はいつまでも子供でいたい、という願望があるからだと、僕は考えています。この点については、また別の機会に詳しく書くつもりです。)

その点で『インクレディブル・ファミリー』は、アメリカのアニメイション作品としては、少し特殊な気がします。この作品では、“子育て"や“働く女性"といった大人向けのテーマになっているのです。それを子供向けにするのではなく、敢えて易しく噛み砕こうとしていないところが、アメリカ的なのだと思いました。そのため、子供よりも大人が楽しめる作品になっています。しかも映画の中盤に出て来るアクション・シーンは、ホラーのような演出になっており、大人である僕が観ても、「本当に主人公の命が危ないかも」と一瞬思ったくらいのクオリティです。決して、子供向けのアニメイションではないのがいい点です。

もう1つ興味深い点は、第1作目の題名である“The Incredibles"の邦題が『Mr.インクレディブル』であったのに対して、今回の題名である“Incredibles 2"の邦題が『インクレディブル・ファミリー』に変更されていることです。今回、僕はこの作品を英語音声で観たので、あまり字幕には注意していなかったため、日本のオーディエンスに向けて、どのような仕上がりになっているかはよくわかりませんが、少なくともタイトルを『Mrs.インクレディブル』にしなかった事は、日本社会への配慮なのでしょう。

因みに、ブラッド・バードは、『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』(2011年製作)の監督も務めた方です。アニメイションで鍛え上げられた、周到なアクション・シーンを組み立てる技術は、見事に実写映画化にも生かされています。アラブ首長国連邦のドバイにある世界一高い超高層ビル「バージュ・カリファ」をトム・クルーズが演じるイーサン・ハントが登るシーンは、『ミッション・インポッシブル』シリーズの中で、一番印象に残るシークェンスではないでしょうか。そもそもトム・クルーズ本人がまるでアニメイションでしかありえないような存在なので、監督ととても息が合った可能性があったのだと思います。

バード監督の映画は、“アニメ"なのか“実写版"なのかを観客に意識させないところが一番の特徴だと思っています。“アニメだからこうじゃなきゃいけない"とか“実写版だから、これは非現実的過ぎるだろう"という余計な配慮がないのです。『インクレディブル・ファミリー』もそういう意味では、かつて見たことのない、創意溢れるようなアクション・シーンもあれば、実写版以上に人間らしさや家族の絆が描かれていたシーンもありました。超人的なスーパーヒーローの物語でありながらも、そこに描かれているのは誰もが共感できる日常でした。

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3.「グローバルスタイル」のブルーのドレス・シャツ

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こちらは以前「グローバルスタイル」で初めてネイヴィーとグレイのスーツを作る際にオーダーしたドレス・シャツです。番組的的にブルー・バックで撮影するため青系の衣裳はNGなため、今まで着る機会はなかったのですが、今回はホテルでのインタヴューということで着ることにしました。

ドレス・シャツといっても、生地の種類は様々です。今回着用したシャツは「ヘリンボーン」という、平行四辺形が連続した山と谷を作り出す幾何学的な柄です。“ヘリン"(herring)とは“ニシン"のことですが、織り方がニシンの骨の紋様に似ていたことから命名されたとされています。落ち着いた大人っぽさを演出することができ、ツイードなどカジュアルなアウターウェアにも高級感をもたらします。 因みに、番組のパイロット版で着た僕のツイードのジャケットもヘリンボーン柄です。


4.「B&T CLUB」のレジメンタル・タイ

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こちらのネイヴィーとシルヴァーのレジメンタル・タイは、「大きいサイズの紳士服」をスローガンにする紳士服店「サカゼン」の『B&T CLUB』のものです。(因みに、B&T は “Big & Tall"の略です。)そのため、通常日本で販売されているネクタイより少し長めになっています。

スーツを着る習慣が全くなかった数年前、友達の結婚式に誘われた際に、手頃な値段のネクタイが必要となり、急いで渋谷の店舗で購入したものです。



日本では、以前は結婚式のネクタイといえば、“白の無地"が基本とされていましたが、最近はより自由にオシャレを楽しむ方が増えてきています。お祝いムードたっぷりのシルヴァー系のネクタイも多く見かけるようになりました。

この日は、豪華な内装が特徴的であるザ・ペニンシュラ東京でのインタヴューということだったので、その会場にもマッチするネクタイを選びました。


5.「MFYS Jewelry」の金属系カフ・リンクス

こちらは、アマゾンで購入したブラック・エナメルとステンレスのカフ・リンクスです。

スタジオでは照明を反射する危険性があるため、なるべく金属系の装飾品は控えるようにしているのですが、やはりビジネス・シーンやインタヴューなど、相手に好印象を与えたい場合は、カジュアル感のある組紐カフ・リンクスよりも金属系のものが望ましいと思い、着用しました。

金属系のカフ・リンクスは、デパートやセレクト・ショップで買うと¥5,000以上するものが多いのですが、まだ使い慣れないうちは、壊したり失くしたりする可能性があることも考慮して、アマゾンで手頃なものをいくつか入手しました。この商品はなんと¥1,200(税込)というナイス・プライスです。

僕にとっては、金属系のカフ・リンクスが見た目以上に嬉しい点は、カフスの穴に通し易いことです。収録の際は、特に急いで着替える必要があるので、その時に一番ストレスになるのが、まだ新しく、パリッとしたシャツの袖に丸みのある組紐カフ・リンクスを通すことなのです。

その点、金属系のカフ・リンクスはシャツのカフスの穴にスーッと刺すことができるので、簡単に着けることができます。


6.「グローバルスタイル」のブラック・スーツ

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この商品は、以前紹介したのでLANGUAGE & EDUCATION #003を参照してください。


7.「イセタンメンズ」の黒いソックス

この商品は、以前紹介したのでCINEMA & THEATRE #005を参照してください。


8.「リーガル」のウィング・チップ・シューズ

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この商品は、以前紹介したのでFASHION & SHOPPING #009を参照してください。


9.「999.9」の『M-27』

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この商品は、以前紹介したのでCINEMA & THEATRE #006を参照してください。


10.エピローグ:インタヴュー後の楽しみ

インタヴューが終わるといつも、控え室に戻って一旦荷物をまとめてから、エレヴェイターに乗ってロビーに向かいます。毎回決まって、そのエレヴェイターの中で緊張がほぐれ、その次の瞬間に自分がとてつもなくお腹空いていることに気がつきます。インタヴュー自体はせいぜい10分とか15分という短い時間なのですが、それまでに長い緊張の時間があるのです。

この日は、プロデューサーにザ・ペニンシュラ東京の近くにある、釜飯と焼き鳥のお店に連れていってもらいました。ホテルから徒歩2分にある雑居ビルの地下1階にあるその店は、銀座に本店を構える1980年創業の「鳥ぎん」の日比谷店でした。ラスト・オーダーの13時半近くだったせいか、昭和の居酒屋のような店内は比較的空いていました。

ランチの「釜飯セット」は、好きな釜飯に焼き鳥2本、お新香、鳥だしのスープも付いてくる、お得なメニューです。定番の「鳥釜めし」以外にも「筍釜めし」「鮭釜めし」「貝柱釜めし」など多数あるので、何人かで訪れる場合は、シェアし合うのもいいと思います。ただ、注文を聞いてから炊き始めるため、料理が出来るまでに15~20分かかるので、急ぎの時はやめた方が良いです。

インタヴューの収録は、いつも時間の制限というプレッシャーを感じながら行うので、収録後に時間を気にせず、ゆったりとしたランチをいただけることは、1つの楽しみとなっています。食事が終わって、お店から出る頃には、日も陰り、皇居からの風がとても心地よく感じられました。帰りは地下道ではなく、地上を歩きながら日比谷駅まで向かいました。そのたった1時間半前には海外の大物監督のインタヴューをしていたことを忘れてしまうくらい、満腹になっていました。


CINEMA & THEATRE #009

映画『インクレディブル・ファミリー』の監督、ブラッド・バードへのインタヴューを振り返って - KAZOOの『SNS英語術』映画コーナー (5)


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